家づくり関係のお話

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断熱改修による居住者の健康への影響調査 第3回中間報告

昨年12月21日、我々が調査をしている断熱改修による居住者の健康への影響調査に関する3回目の報告が、スマートウェルネス住宅等推進調査委員会にて行われました。

住宅において、健康的な住まいについての調査を行ってきました。
今回で3回目を迎える中間発表会。全国の医療、建築の先生方が集まり、報告が行われました。
その内容について、こちらに纏めました。
どれも得られつつある知見ということですが、とても大切な結果が得られました!

スマートウェルネス住宅等推進調査委員会
スマートウェルネス住宅等推進調査委員会の様子

室温が安定していると季節ごとの血圧変動が小さい

冬場に室温が18℃を下回るような寒い家に住んでいて、夏場も26℃を上回るような家だと、
季節ごとの血圧の違いが非常に大きくなります。
これが、冬は18℃以上となり、夏は26℃を下回る家だと、季節ごとの血圧の違いが小さくなることが分かりました。
やはり温度が安定すると、年間でも血圧が安定するのですね。

室温よりも床付近の温度が低い住宅の方が血圧が高い

室温の低下と言うよりも、床近傍温度の温度低下の方が血圧が上がりやすいことが分かりました。
足元を暖かくしておくことは、やはり大切なのです。

室温が高いと起きた時の高い方の血圧が下がる

起きたときに計測する血圧が、病気の発見には一番重要なのですが、
この起きたときの血圧も、室温が高いほうが最高血圧が下がることが分かりました。
朝起きて寒いと辛いのは、このせいかもしれませんね。

室温が低い家では、コレステロール値が高い人や心電図異常がある人が多い

寒い家に住んでいる結果、体温を下げないように体が工夫するのだと思います。
ですので、コレステロール値をあげようと体が反応するのでしょう。
また、理由はハッキリ説明出来ませんが、心臓になんらかの負担をかけてもいるようです。

寝る前の室温が低いと、過活動膀胱症状が増える

寝る前の温度も影響があるようです。
過活動膀胱症状によって、睡眠の質が下がります。
今回の調査結果では、寝る前の室温をキチンと暖かくしておくと、過活動膀胱症状も改善する結果となりました。

床近傍の温度が低い住宅では、色々な疾病・症状を有する人が多い

床の温度が16℃以上と16℃を下回る場合とでは、血圧だけでなく、色々な疾病や症状の予防にもなりそうです。
具体的には、音の聞こえ難さ、脂質異常、骨折、捻挫や脱臼などの割合が違うとのことです。

室温が上昇すると、住宅内での活動時間が増える!

部屋の温度が上がると、コタツでジッとしているよりも、元気に歩き回ることが増えるようです。
これも薄々は分かっていたことですが、改めて調べてみると実際そうだったと言った内容です!

以上が今回の報告の概要です。
他にも様々な内容が分かりつつあります。
来年も更に調査件数が増え、様々な事が解明されることと思われます。
このように分かってきたことが、今後の設計にどんどん活かされるようになることが良いことだと思っています。

今回の報告で、最も私が参考にしたのは、
「床が冷たいと、疾病・症状を有する人が多い」
と、言う点でした。
16℃以上あれば症状が減ると言うことなので、床暖房ほどの暖かさが必要かと言えばそこまででなくとも良いのですが、やはり床を冷たくしていると不味いということが改めてわかり、前々から薄々分かっていたこととは言え、その重要さを改めて強調していく必要があるように思っています!

なお、こちらの内容の詳細については、国交省の以下にも記載があります。
http://www.mlit.go.jp/common/001270049.pdf

 

断熱リフォームの補助金利用や費用・効果について 読売新聞に取り上げられました!

3年ほど前に断熱リフォームを実施された、大阪府の四條畷市のお客様の家にOB訪問させて頂きました!

今回は読売新聞の取材のため、現在の暮らしぶりをお伺いするために訪問させて頂いたのですが、色々お話を聞いていると、充実した生活ぶりを楽しそうにお話頂きました。

今回の取材に関する記事は2018年12月9日(日)の読売新聞の「くらし」の欄に掲載されました。
合わせて、ぜひ参考にして頂けたらと思います。

読売新聞 断熱リフォーム
読売新聞のくらし欄に掲載された取材記事

断熱リフォームとは?

断熱リフォームとは、家を断熱材等で覆うことで魔法瓶のようにし、暖房で温めた空気や冷房で冷やした空気を外に逃げにくくすることで、冬も夏も快適かつ省エネな暮らしを実現するためのリフォームの工法です。

具体的には、壁や天井(または屋根)、床(または基礎)を断熱材で覆い、窓を高断熱化し、気密を確保した上で、換気扇を設置すると言った方法によって断熱リフォームを行います。

断熱リフォームには現状の建物が木造なのか、鉄筋コンクリートなのか、軽量鉄骨なのか。
戸建住宅なのか、マンションなのか、によって施工の種類が変わります。

適切に設計をすることが求められ、下手な計画をすると、カビや結露などが頻繁に出るような失敗になってしまう場合があります。

断熱リフォームの効果やメリット

今回の断熱リフォームでは、その前後でどれだけ違いがあるのかを実際に記録できる温湿度計などを設置して調査しています。
明らかになったリフォーム前後での効果を列挙します。

 ・光熱費が約2割程度下がった
 ・リビング、寝室、脱衣室の温度が3~8℃近く上がった
 ・家の中の温度差が無くなり、18℃程度と安定している
 ・冬場における血圧が下がった

また、お施主さんが感じているメリットを挙げると

 ・家の中のドアを常に開けていられるので、広々感じる
 ・冬場でもリビングでじっとしている時間が減り、屋内で動き回るようになった
 ・トイレに行くのが嫌ではなくなった

閉めずの扉
閉めずの扉になっている、玄関ホールとリビングの間のドア

など、実際に目で見える効果とご本人が感じているメリットなど、多くを語って頂きました。
家の中の温度差がなくなることは、ヒートショックの予防にも繋がり、更に冬場の血圧が下がっている事実もヒートショック予防に繋がり、二重にメリットがあります。

また、光熱費が下がるということは、経済的なメリットもありますが、そればかりでなく省エネにもつながり、こちらも二重に効果があります。

広々と感じられるようになったという感想があることからも、心理的なメリット大きく、沢山の効果が得られると言えそうです!

今回の断熱リフォームの内容

今回の工事を行った住宅は、ツーバイフォーという工法で出来た住宅です。
ツーバイフォーの工法については、こちらで確認して下さい。)
日本の古い木造住宅では、殆どの場合断熱材が入っていません。
しかし、今回のケースでは断熱材が既に入っていました。
ただ、新たに断熱材を設置する場合、従来の断熱材が悪さをすることがあるので、注意が必要です。

天井の断熱
今回の事例では天井の断熱はアイシネンという吹付けの断熱材を利用しました。
そして元々あった断熱材は撤去しています。


壁への断熱は外壁側に断熱材を貼付しています。
これは外壁を一緒にやりかえる希望があったためです。
こういった希望が無い限りは、部屋内側に断熱するほうが金額的には安くなります。

床下
従来、床に断熱が施されていましたが、今回は基礎側への断熱に変更しました。

気密
一般的な木造住宅の場合、気流止の設置などで気密処理を行う必要がありますが、ツーバイフォーの場合は既に気密がかなり確保されています。


熱が逃げていく大部分を占めるのが窓です。小窓は内窓の設置、大窓はカバー工法という工法で、3重のガラスが入った樹脂製(プラスチック製)の窓へと変更しました。

勝手口
今回は勝手口はもう使わないということで、従来存在したものを塞いで壁にしました。

玄関ドア
玄関ドアは、カバー工法と言う工法で新しいドアへと交換しています。

換気
断熱リフォームを行う場合は、必ず換気計画が必要になります。
この計画を怠ると、カビや結露を誘発させることになりかねません。
今回は熱交換換気扇と言うものを導入しています。

その他、防湿計画など必要な計画を行っています。

総合的な家の性能
総合的な家の断熱性能はかなり上がっています。
実際にはUA値計算というものをおこなっています。

断熱リフォームに利用した補助金

今回利用した補助金は、スマートウェルネス住宅等推進モデル事業と言う事業に出されている補助金を利用していて、補助金額は120万円です。
約5年間この補助金が実施されていましたが、平成30年度をもって終了する予定です。

平成31年度(2019年度)以降は、新たな補助金となる予定です。
補助金や助成金は毎年国会で予算編成され、採択されたものから実施されます。

近年では、国際公約である省エネを達成する必要があるため、断熱リフォームや省エネリフォームに関する補助金が多数用意される傾向にあります。

新年度の補助金を利用したい場合、4月頃から問い合わせを行っておくと良いです。
補助金の予算には限度があり、基本的に補助金の利用は早い順となります。

断熱リフォームに必要な費用・価格

今回は外壁側から断熱を行ったため、こちらの費用がかなりかかっています。
一般的な戸建て住宅ですと、窓の断熱化、天井や屋根への断熱、床への断熱で、相場としては200~300万円程度の単価が多い価格帯です。
壁への断熱は、採用できる工法によってかなり変わってきます。
現状、タンスやその他の家具、キッチンや洗面台の移動が必要かどうかなどによって必要な金額が変わってきますので、断熱リフォームを考えたい場合は一度見積もりをとってみることが必要になります。

また、換気計画についてもその計画内容によってかなり金額がかわってきますので、合わせて見積もりをしてみると良いでしょう。

断熱リフォームでのその他の事例や注意事項

・鉄筋コンクリート住宅での事例
 鉄筋コンクリート住宅では内断熱工法を採用しています。
 こちらに実施された工事の記録としてブログ記事がありますので、参考にしてもらえたらと思います。

・マンションでの断熱リフォーム事例
 マンションの場合は、換気計画が可能かどうかを確認する必要があります。

・軽量鉄骨住宅での断熱リフォーム
 こちらにおいても断熱リフォームの事例があります。
 ただし、鉄骨の場合は結露が生じると鉄が錆びる可能性がありますので、住まい方に対する理解なども含め、どうすればよいのか相談してから計画することが重要です。

・中古住宅での断熱リフォーム
 最近では中古住宅を取得して、断熱リフォームを実施される方も増えてきています。
 まだ家具の入っていない状態ですので、比較的リフォームはやりやすい状態です。

・diyによる断熱リフォーム
 一部、ご自身で断熱リフォームをされる方もいらっしゃいます。
 最近ではホームセンターで、断熱材を購入することも可能ですので、一部は可能となっています。
 しかし、カビの発生の問題など、知らずにリフォームを行うと思いもよらない結果になることがありますので、事前によく理解してから行うことをおすすめします。

・お風呂の断熱リフォーム
 近年では、古いお風呂(タイル張りのお風呂、在来と呼んだりします)をリフォームされる方も多いです。
 この場合は、その後のメンテナンスも考慮してユニットバスにすると良いです。
 最近のユニットバスでは、浴槽が断熱されていてお湯が冷め難くなっています。
 また、ユニットバス自体が断熱されていることもあり、この場合は浴室自体が暖かくなります。
 寒いお風呂で冬場辛い思いをされている方は、まずはこの部分だけでも変えるとかなり変わってきます。

業者選びについて

最後に業者選びについてですが、最近ではリフォームのチラシで断熱リフォームが謳われていることもあるようです。
この場合、その業者さんが実際にどの程度実績があり、どの程度詳しいのかを確認しておくことをおすすめします。
断熱リフォームは新築住宅を断熱化する以上に難しい計画となります。

リフォーム業者は、建設業などの免許を必要とせず、極端な話、素人でもリフォーム業を名乗ることが可能となっています。
ですので、玉石混交であることを知っておくことが最も重要と思われます。

 

エアコンの内部はカビだらけ!? エアコンの掃除と防止方法

「エアコンにカビはつきもの」と言うのはご存知でしょうか?
エアコンは構造的にカビが発生しやすい機構となっています。
カビはほとんどの場合、人を死に至らしめるような劇的なものではありません(一部発がん性があるものがあります)
しかし、エアコンを可動させた瞬間は、10分程度内部のカビが放出されると言う報告があり、
咳などのアレルギーの原因となる場合もあるようで酷い場合には過敏性肺炎になることもあるようです。
小さい子供や赤ちゃんのいる家庭なら、悪い影響が及ぼさないように気をつけたいことだと思います。
エアコンをつけたときに、カビの臭いがしているようだと対処の必要がありそうです。
(ただし、どの程度カビ汚染したら健康に影響があるのかは不明なようです。)
今回はそんなエアコンで発生するカビの発生原因と掃除、予防、防止方法についてです。

<カビの原因は??>

先日、京都大学の芝蘭会館という場所にて、日本建築学会の熱環境委員会と言う委員会が運営する、「第48回 熱シンポジウム」と言うものが開催されました。
湿気(シッキと読む)に関する研究や調査が多く発表された今回のシンポジウム。
私も聴衆者として参加させて頂いたのですが、その中でカビに関する調査研究を行っていらっしゃる先生の発表がありました。

京都大学芝蘭会館
「熱シンポジウム」が京都大学芝蘭会館にて開催されました

その中で、カビの生育に関する話がありました。
日本においてカビは湿度80%を下回っていれば、あまり発生しないということが言われています。
しかし、海外においてはこの基準がより厳しく、70%以下である必要があるとされているそうです。

というのも、湿度74.5%の環境が120日間継続するとカビが発生すると言う事例があるのだそうです。

海外の基準がどうであれ、"高い湿度状態が続くこと" によってカビが発生する要因になります。
カビは、高い湿度、酸素、ホコリなどの栄養素が元になり、生育していきます

エアコンにカビが生える場合、エアコンの内部で何が生じているのでしょうか?
その謎に迫ったのがこちらの論文。
ルームエアーコンディショナーの除湿による内部保水量の確認実験
私がお世話になっている京都大学の小椋教授も研究されている内容です。

こちらによると、エアコンのドレンパンと呼ばれる部分にはかなりの長い時間、除湿した水が溜まった状態となっているようです。
こちらの水が原因で、湿度の高い状態が続き、カビが生育しやすい状況となっているようです。
エアコンが構造的にカビが生えやすいのはこのためです。

エアコンのドレンパン
エアコンのドレンパンに水が溜まってしまう

<自分で出来る!?カビを防止、掃除する方法は如何に??>

それでは、このような状況の中でエアコンにおけるカビを防ぐにはどのようにしたら良いでしょうか?

まず、カビの生育条件としては、"栄養素"があることです。
このカビの栄養分となるのは、ホコリや油分であることが多いようです。
ですので、なるべくこれらを取り除いてやることが必要です。
ただ、フィルターや手の届く範囲、あるいは専用のスプレーで冷却フィンや送風ファンなどの内部の掃除は可能ですが、見えない、あるいはスプレーも届かない場所の掃除には無理があります。
完全に常にホコリを取り除くことは難しいと思われます。

次にカビの育生には酸素が必要です。
しかし、この酸素を取り除くことはまず無理でしょう。
(部屋中の酸素を取り除けば可能かもしれませんが・・・)

最後にカビの好む湿気を取り除いてやることです。
先程あったようにドレンパンに水が溜まる状況が続くことに問題がなのですが、
エアコンでも一部の機種で、「内部乾燥」と言う機能を持ったものがあります。
これは、機器の中を乾燥させると言う機能なのですが・・・・
エアコンの中にカビが生えやすい時期は、夏です。
この内部乾燥と言う機能、どのように乾燥させているかと言うと、
ほとんどの場合、内部を温めることで乾燥させています。
なので、その影響で部屋の中が暖かくなってしまうという、全く矛盾したことが生じてしまいます。。。
(何のための機械やねん!と、言いたくなります)

※ただ、臭いが一番気になるのは、夏のドレン水が残ったまま放置され、次にスイッチを付けた、暖房の時期の方が多いようですが。

<高気密・高断熱住宅の愛好者には朗報!!>

それでは、エアコンの内部の湿気を取り除くにはどうしたら良いでしょうか??
いや、取り除こうと思うからダメなんだ!!
と、言うことでカビの生育を防ぐ最も良い方法(!?)は、
【エアコンを稼働し続けること!!】
なのです。

これは、冗談でもなんでもなく、エアコンはスイッチの入り切りを繰り返すほど、
カビの数が多くなるそうです。
そして、エアコンは稼働状態だと室温が設定値になり止まっても、
送風の空気を送り続ける機種があります。
これであれば、機器内の乾燥状態が維持され、カビが生育しにくい状況となります。
つまりエアコンは、カビ対策においても24時間使用し続ける方が良いのです!!

しかし、これをやろうと思ったら、きちんとした高気密・高断熱住宅でないと、
電気代が大変なことになるでしょうが・・・

 

家を暖かくするとインフルエンザは防げるか?その結果は?

先日、四條畷市の田原台と言う場所においてシンポジウムが開催されました。
これは、昨年に引き続き行われたシンポジウムで、私も断熱リフォームの実例紹介と言うことで、登壇させて頂きました。

今回は、近畿大学建築学部長である岩前教授のご講演もあり、ご参加頂いた方には非常に面白くてためになるシンポジウムだったのではないでしょうか。

岩前先生による快適と健康の違い
岩前先生による快適性と健康との明確な違いのお話

岩前先生のお話は、いつもためになるだけでなく、必ず聴衆者を惹き込むような面白い笑いのあるお話があります。
本日も、岩前先生の岩前節が炸裂して、会場内は暖かな雰囲気に包まれていました^^)
今回のお話では、「快適」と言う感覚がどうも「健康」と直結していると勘違いされている方が多く、実際にはこの両者は全然違うと言うお話がありました。
「例えば、タバコなどはその例で体は快適に感じるのですが、実際には体に良くない。
 これが家の快適性にも当てはまり、実際に快適に感じても健康とはかけ離れていると言うことがあり、それが家の寒さなのだ。」
と言うお話でした。

更に近年では、これらの事が公に認められつつあり、本年の4月には学校法が改定され、それまで学校では『10℃~30℃』までであれば、良しとされていた基準が、『17℃~28℃』にしなければいけないと言うことになりました。しかも、これは「子どもたちの健康と快適」を維持する目的とされています。
参考)「学校環境衛生基準の一部改正について(通知)平成30年4月2日 文部科学省

このことについて如何に画期的なことなのか岩前先生よりお話があり、会場にいらっしゃった方々もとても興味深く聞いていらっしゃいました。

この後、私の方からも同じ田原台において断熱リフォームをされた事例を発表させて頂きました。
結果としてお話したことは、
それまでリビングでは20度を下回ることが多かったのですが、リフォーム後は20℃を下回ることが殆ど無くなったと言う事実。
暖かくなるとその方は、血圧が明らかに下がったという事実。

を、お話させて頂きました。

四條畷市長登壇のパネルティスカッション
四條畷市長も登壇されたパネルディスカッション

そして最後には、四條畷市長の東市長(日本で一番お若い市長ですが、とてもしっかりされている方です。)と田原台を代表するメンバーの方々を交えてのパネルディスカッションが行われました。
このパネルティスカッションにおいて、非常に重要だったお話は

昨年のこのシンポジウムの話を聞いて、実際に寒い時期の部屋を暖かくしてみました

と、言うお話だったのではないかと思います。
小学校のPTA会長を務められていらっしゃるのですが、今回はその立場と言うよりかは一人の母親としてやってみたことをお話されていたと思います。

聞くところによると、
「昨年は忙しくて、インフルエンザの予防注射に行けなかった。」

そうです。そんな折思い出されたのは、昨年のシンポジウムでお話した、
『家を暖かく過ごすように心がければインフルエンザの予防になる』
と言うお話でした。

「実際に心がけて家の中を暖かくするようにしてみました。その結果、家族の誰も風邪をひくこともなく冬を越すことが出来ました!

と、言う非常に貴重なお話をして頂きました^^)

このように、実際に実践されて初めて"実感すること"これが、一番重要に思います。
我々も色々な場所で、啓発活動としてお話をさせて頂きますが、どれだけ説得したとしても習慣はそうそう変わるものではないと思います。
ですので、"実際にやってみて感じて頂く"これ以上に効果のあることは無いと思います!

これを読んで頂いている皆様も、是非試してみて頂けたらと思います。

追伸)
シンポジウムの後に、パネルティスカッション登壇者の方々と懇親会が行われました。
東市長にもご参加頂いたのですが、非常に気遣いが卓越された方で、博学でもありました。
私が東市長と同い年だったころは、こんなに周りに気を配ることは出来ていなかったなと。
(まぁ、今もですが・・・)
素晴らしい方でした^^)

 

通風による生活 in宮古島エコハウス

沖縄は暑いイメージがありますが、実は夏場でも気温が30℃を超えることは殆ど無いそうです。
これは沖縄が島で、常に海からの風が吹いているためにそれほど地表面の温度が上がらないからのようです。

沖縄本島から300kmほど南に離れた宮古島においても同様のことが言えるようで、沖縄に生活する人は窓を開けて通風で暮らすと言う習慣が昔からあるようです。

宮古島市では、市が運営する宿泊施設として宮古島市エコハウスと言う施設を運営しています。
エアコンを使用せずに自然なエネルギーである通風を活かして生活することで『省エネで環境への負担が少なく、かつ快適な暮らしができる』と言うことをコンセプトとしています。
(ですので施設の中にはエアコンが設置されていませんでした。)

宮古島市が運営するエコハウスには2種類のエコハウスがあり、市街地型と郊外地型があります。
今回、我々はそのうちの市街地型エコハウスに宿泊させて頂きました。
(宿泊費にはビックリしました・・・)

市街地型の宮古島エコハウス
風を通すための花ブロックが使用されていた

宮古島市が運営するエコハウスは、どちらも伊志嶺敏子さんと言う沖縄を代表する建築家さんが設計されていらっしゃいます。宿泊の晩、我々は設計者である伊志嶺敏子さんともお会いし、いろいろなお話を聞かせて頂きました。
(とてもお若い、非常に情熱あふれる方で、とても有意義な時間を過ごさせて頂きました!)

伊志嶺さんは普段から「誰でも作れるディテール」「使えるものは使う」と言うコンセプトをお持ちで、今回の建物も、それらを意識して設計されたそうです。
例えば、外装に使用している「花ブロック」などはその典型と言えるかもしれません。
この花ブロックは、沖縄では昔から利用されているブロックで一般的には透かしブロックと言われるものです。ブロックでありながら通風することが可能やように、穴が空いています。様々な種類の花ブロックがあり、積み上げるととても綺麗な模様のように見えます。

この花ブロックを利用して、外部との境界を作りながらも通風を可能とし、更に花ブロックの屋内側にもう一重の開閉可能な窓を有した外壁を設置することで、夜でも防犯上問題なく、必要に応じて通風が出来るように設計されていました。

市街地型の宮古島エコハウス内観
あらゆる方向から風を通すことが出来るようになっています

屋内側は、どちらの方向からでも通風させることが可能なように、沢山の開口が設けられていました。
ちょうど、上の写真の左奥に花ブロックが見えますが、花ブロックが外部との仕切りとなり、その内側にさらに開け締めが可能な開口が設けられていました。こうすることで夜間に窓を開けておいても防犯上も安心して就寝することが出来るようです。

実際に訪れて試してみて分かったことは、最初に四方の窓を全て開けれるだけ開けてみたのですが、意外とそれではあまり風が入ってきませんでした。ですので、今度は風道を考えて、風が吹いてくる方角の窓を開けるのと同時に、風が出ていくと想定される窓を開けて、他の窓は閉じてみる。と、いうことをやってみると、今度はとても良く風が入ってきます。
つまり、風をより良く通そうと思ったら、「風が出ていく側の窓」がどこなのかをしっかりと想定して開けることが重要なことに気が付きました。冷静に考えると、当たり前なのですが、実際に体感してみるとそのことがとても良く分かります。

この経験は、私がパッシブ設計を行う上でとても貴重な経験で、風道を考えることの重要性を示唆していると感じました!

翌朝、伊志嶺さんはわざわざご自宅の庭で生っているシークワーサーを我々のために持ってきてくださいました!これは前夜に、庭にシークワーサーが生っているという話になり、シークワーサーが入ると、濃いはずの泡盛がジュースのようになると言った話から、ご親切にも持ってきて頂けると言う酔の席でのお話を覚えていて下さったからでした!!

とても貴重な体験をさせて頂いた上に、色々お世話になり、感謝感謝です^^)

 

近未来!VPP(バーチャルパワープラント)って何でしょう?

【HEMSや太陽光発電の設置がより重要になりそうです!】

先日、私が所属する(公益社団法人)空気調和衛生工学の省エネルギー委員会、住宅省エネルギー研究小委員会にて、沖縄の宮古島にて行われているVPP(バーチャルパワープラント)の実証事業について、調査視察に行ってきました。

実証事業は、現在「宮古島における島嶼(とうしょ)型スマートコミュニティ」という事業名称で宮古島において実証が行われています。

宮古島においては、沖縄電力が供給する電力事業の赤字が続いていて、他の離島でも同様の状況だそうです。これらを解消したいとインセンティブが働いて、平成23年から、「宮古島全島EMS(エネルギーマネージメントシステム)実証事業」というものが以前から行われていました。現在の事業はこれを引き継いたものとなっているようです。

VPP(バーチャルパワープラント)と一言でいっても、かなり複雑で実現にはいくつかのハードルがあるようです。

VPPとは、簡単に言うと太陽光発電や風力発電など、通常の火力発電などの発電所とは違って、比較的小規模の発電施設を上手く纏めてコントロールし、必要な時に必要なだけ供給できるようにするシステムと言うイメージです。

この纏め役をするのがアグリゲーターと呼ばれる役目の人々で、これから先はこのアグリゲーターの存在が重要になってくるようです。

これが上手く世の中に浸透すれば、先日九州電力管内で行われた太陽光発電の出力制御のようなことが適切に行うことが可能となります。
また、北海道で生じたようなブラックアウトの危険性も低くなるようです。

宮古島では太陽光発電を主力電源(主要な発電施設)と位置づけられるように様々な実証実験が行われています。
例えば、来間島と言う、宮古島に隣接する小さな島で行われた実証実験では、88世帯(約220人弱)、公民館、小学校に太陽光発電を380kw設置。これに対して、蓄電池(リチウム)を176kw✕2を設置して、時給自足の生活が出来るのかを確認したようです。
この実証試験では、
「太陽光発電と蓄電池」
だけで生活出来るかを確認したようです。
ここで得られた知見としては、 蓄電池容量が足りないということと、天気の予測精度がかなり重要と言うことが分かったようです。

来間島のVPP実証実験
来間島で実証実験が行われた村

来間島の景色
反対を見れば、こんなに綺麗な場所でした!!

<宮古島におけるVPPに必要なこと>
・それぞれの家庭や施設の消費電力を計測し、それを一つに集める機器の普及
 HEMSに代表されるように、その建物で消費されているエネルギー量を計測し、
 その情報を集計先に送るシステムの普及が必要です。

・太陽光発電などの発電する機器の普及
 電力の供給元としての発電機器の普及が必要です。

・必要なエネルギーの平準化
 太陽光発電は昼間に多く発電し、夜は全く発電出来ません。
 しかし、普通の住生活では夜にも電力は消費するので、これをより単純化する必要があります。
 エネルギーを使う時間をずらしたり、エネルギーを蓄電池などに貯めることで実現を模索しているようです。

以上のようなことが実現できれば、事前に必要なエネルギー量を予測し、必要なエネルギーだけを作って生活すると言うことが可能となります。

これらの実証実験の結果は、将来の我々の生活においても活かされる可能性があります。
ドイツにおいては、既にこれらのことが実現し、既に電気においてはほぼコントロールが可能になっているようです。そして、次の課題として、電気よりも遥かに多くのエネルギーが必要な熱(お湯や暖房)を余った電力で賄えないかと言う、新たな取り組みに進んでいるようです。

ここでこれから家づくりをされる方に対して参考となるのは、
HEMSや太陽光発電の設置
と、言うことが今後さらに重要になりそう
だと言うことです。
(ただし、蓄電池に関しては、V2Hと言って、車を蓄電池の代わりにすると言うことが、
 世の中的に進むかもしれません
ので、注意が必要そうです。)

 

2018年グッドデザイン賞受賞! エネマネRハウス

我々が昨年提案した、エネマネRハウスがグッドデザイン賞を受賞しました!

エネマネRハウス/グッドデザイン賞
グッドデザイン賞を受賞した「エネマネRハウス」

エネマネRハウスとは

2017年に開催された大学対抗のコンペのエネマネハウス2017において、
近畿大学が提案した新しいコンセプトの住宅。

昭和50年代以降のかつてのニュータウンにおける住宅を対象として、それらの住宅を如何に活かすかを提案。

窓を媒介して容易に脱着できる「窓辺のカートリッジ」を利用しつつ、必要な空間だけに限定して超高断熱化を実施。
また、設備機器は全てこの超高断熱仕様にした住宅に適するように改造し省エネ化を実現。
更に、使わないスペースを「ルームガーデン」と名付け、地域住民との対話の場所としての活用や各々の趣味を実現する場所として提案。
ゼロエネルギーであることは遥かに凌駕し、LCCM住宅の粋まで省エネ化を実現。
(LCCM住宅とは:https://www.towntv.co.jp/2012/07/lccm.php

また、エネファームから排出されるCo2を活かすため、ルームガーデンにおいてのじゃがいも栽培を提案。ジャガイモはある一定の高濃度Co2で成長が促進されることが分かっている。
これによっても省エネの本来の目的である、Co2発生の抑制に繋げている。
更に将来像として、近畿大学の鈴木先生はジャガイモを利用して発電を行う研究を行っている。
(鈴木高広教授の近未来研究所:http://www.imo-lab.jp/

エネマネハウス2017での提案内容の概要はこちら↓
https://www.enemanehouse.jp/college/kindai/

グッドデザイン賞とは

デザインとして新たな「発見」→「共有」→「想像」があることに対して送られる賞で、毎年開催される。デザインの優劣を競う制度ではない。
グッドデザイン賞といえば、受賞の証である「Gマーク」が有名。
審査対象は幅広く、車などの工業製品や絵本、アプリケーションやサービスに至るまで様々なモノやコトに対して審査が行われる。

受賞概要はこちら↓
https://www.g-mark.org/award/describe/47867?token=0Qb2qlwkVn

エネマネRハウス/ルームガーデン
エネマネRハウスのルームガーデン

今回の受賞を受けて、エネマネ2017で受賞した3賞に加え、4冠を達成したと言うことになります!
色々なところで評価をして頂いてありがたいお話です。
今ではプロジェクトリーダーの松岡先生をはじめ、学生さんたちとあーだこーだと頑張っていた日々が懐かしくも感じます。既に学生さんたちの多くは社会人となり、世の中で奮闘していることだと思います。

エネマネRハウスの本質は、今世の中にある住宅ストックを活かすと言うことにあります。
2030年までに日本が掲げた省Co2の国際公約を実現するためには、新築建物のゼロエネルギー化だけでは全然足りません。
なので、今建っている住宅の省エネ化、ゼロエネルギー化していくことが今後日本では必要になってきます。そんな時代背景を含めた今回の提案は、これから活きてくるのだと思います。

 

生活習慣は人間の寿命に影響がない!?最も影響するのは??星 旦二先生のお話

先日、長野県にて首都大学東京で医学の教授でいらっしゃる星旦二先生と一緒に講演させて頂きました!
星先生はお医者さんでありながら、家の暖かさやその他の住環境と健康との関連を調査されている、非常に有名かつ稀有な先生です。
その星先生と一緒に講演させて頂けるのはとても光栄なことでした^^)

星先生と私
星先生の前座を努めさせて頂きました!

講演が始まるまでの控室で、星先生とはいろいろなお話をさせて頂きました。
その中でも、星先生が40年掛けて調べられた調査の結果のお話がとても面白く、衝撃的なお話でした!!
40年といえば、普通の人が社会人になって定年を迎えるまでの長い期間のお話です。
つまり、研究者人生の殆どをこの調査に費やされていた事になります!
(もちろん、これだけではありません。念の為)
その成果のお話なので、衝撃的なのもある意味では無理はないのかもしれません。


その衝撃的な研究結果が書かれた本はこちら!

2017年に出版されたこの本には、人間の寿命はどのような事柄に影響されているのかと言う研究内容が書かれています。
詳細をお知りになりたい方は、是非本を読んで頂きたいのですが、概要をお伝えすると、
人間の寿命に大きく影響があるとされていた、生活習慣は実はそれほど人間の寿命に影響がなく
いままであまり考えられていなかったような、経済性、教育を受けた状況、生きがいの有無なども考慮に含めていくとむしろ一番影響があるのは生きがいを持つこと!!,
だったのだそうです。

そう言われてみると、確かに毎日何かの目標に向かってガツガツ進んでいる人や、日々の生活を楽しんでいるように見えるご高齢の方は、長生きの方が多いように思います。

そんな星先生も、住環境はとても大切な要因だとおっしゃられていて、元気に長生きする秘訣として、家を冬でも暖かく出来るように断熱することが大切と仰っています。
お医者さんの立場で、公の場でこのように仰られる方は意外と少なく、そういう意味で稀有な先生と言えそうです。

星先生からの献本
星先生からご献本頂きサインまでして貰いました!

控室にいるあいだ、星先生から2冊ご献本頂いたのですが、その両方に星先生のサインを頂いてしまいました^^)
意外と自分がミーハーなことが分かりました^^;
無論、もう一冊の本もとてもおもしろく、直ぐに読ませて頂きました。

このように、今ではお医者さんである方が住宅の環境の重要性を提唱される時代となってきました。
これから先、日本の住宅はどんどん冬でも寒くないように、効率的に暖冷房が効くような建物が増えていくと思います。
これから家を建てる予定の方、引っ越しをされる予定の方は、もとても大切な要素となります。
それは、地震対策と同じ、下手をすればそれ以上に重要な要素と考えられるでしょう。

これから10年間の間に、日本ではこの住環境というものの見直しがどんどん進んでいくはずです!

 

チームネットの甲斐 徹郎先生と講演をさせて頂きました!

先日とある企業さんからのご依頼で、山梨県甲府市にて講演をさせて頂きました。
その時にご一緒させて頂いたのが、株式会社チームネットの「甲斐 徹郎先生」!

まさか、ご一緒させて頂ける機会に恵まれるとは夢にも思っていませんでした^^)
と、言うのも私が約10年前に甲斐先生のご著書を読ませて頂いた際、その内容にとても惹きつけられ、密かにその建物を見学させて頂いた経験があったからです。

当時、まだ若かった私にとっては事前にアポイントを取ってお会いすると言うのもおこがましいと思っていたこともあり、当時の同僚と二人で建物の外側だけ覗かせてもらいに大阪から東京の世田谷にその建物を見に行きました。
「都会の住宅街でこんな事が出来るのか!」と、大きな衝撃を受けたのを今でもよく覚えています。
単に緑を増やしましょうというのではなく、とても理論的にその利用方法を書かれていて、それを何しろ街の中で実現されるのだから凄いと思いました。
そのご著書がこちら。


ご自宅の建築について書かれた本なのですが、
緑を豊かにして、自然の風を呼び込むという手法を街の中で取り入れられた画期的な内容で、ひと目見てみたいと衝動に駆られました。
そんな甲斐先生とご一緒に講演をさせてもらえるということで、大変光栄に思い、私自身も楽しみにしておりました。

最初、駅での待ち合わせの場所で電車から降りて階段を登っていると最初に声を掛けてくださったのが甲斐先生でした。
「太田先生ですか?」
と。

最初に気づかないと言う不覚をとっただけでなく、先生呼ばわりして頂いたという意表を突かれ、驚いてシドロモドロになってしまいました^^;

甲斐さんと私
ご一緒させて頂きました!

講演前の控室では、時間を忘れるくらい楽しいお話を色々させて頂きました!
貴重なお話を色々お伺いすることが出来てとても楽しかったです。
私が密かに見に行かせて頂いたお話をすると、
「今度是非遊びに来て下さい!」
と、おっしゃって頂き、とても感動でした!!

甲斐徹郎さん
甲斐徹郎先生のご公演模様!

甲斐先生のご公演内容は、「断熱で体を暖かくし、コミュニティで心も温かくしましょう!」
と、言う内容のご講演でした。

ご高齢の方を対象に調べた調査では、出かけることが少なく一人で過ごされる人よりも、外出して人とよく会う方が長生きだと言うお話から始まり、コミュニケーションを取れる場があることがとても大事だと言うお話や、そのような場をつくるためには家を単体として考えるよりも周辺との関係性で考えるべきだと言うお話などもありました。

また、私が普段授業で話していてもなかなか教えるのが難しい熱の伝わり方や感じ方に関する内容についても、実際にその会場内で聴講されている方たちと一緒に実践をすることで体感をしてもらい、それで理解してもらうと言うスタイルはとてもわかり易く、教える側としても勉強になりました。

役得だなぁと思うのは、そのご講演内容について更に詳しくお伺いすることがその後で出来ることです。
甲府から東京までの帰りの電車では、二人で打ち上げの乾杯をしたあとに山梨県のとても気持ちのいい景色の中で色々お話させて頂いたことです。

私のご相談にものって頂き、中でも印象的な言葉は

「生活の場を提供するものなのだから、その場を提供する人自身が生活を大切にして、楽しまなくてはダメですよ!」

と、言って頂いたことです。

確かに、仕事ばかりになりがちな私にとってはとても身に染みるお言葉でした!

また、近い日にお会いできたら良いなと。

 

要注意なブロック塀の見分け方

普段の生活において、あまり危険視することのないブロック塀ですが、
地震によって小さな子供が被害にあうという非常に胸の痛い事故が起こってしまいました。
子を持つ親として、胸が苦しくなる思いをされているのは私だけではないかと思います。

何か出来ないかと考え、『要注意であるブロック塀』の見分け方が共有できれば、
今後の事故防止につながるのではないかと思い、ここに共有します。

要注意なブロック塀を見つけたら、役所などに報告することも良いと思われます。
市など公共の持ち物でない塀が殆どかと思いますが、役所を通して注意喚起して貰うことも考えられます。
(役所によって、対応は違うと思います。近所の小学校では早速撤去が行われていました。)
おそらく、役所も職員だけで全てを把握するのは不可能かと思いますので、
多くの方の協力が必要と思われます。


【ブロック塀とは】
典型的には、以下の写真のようなブロックで出来た塀です。
RCブロックと呼ばれる、穴が開いていて少しでも丈夫で軽くなるように工夫されたブロックです。
これをブロックのように積み重ねて作られたのがブロック塀です。

ブロック塀
典型的なブロック塀

しかし、実際には下の写真のように色を塗ったりすることで
ブロック塀とは見分けがつかないものも少なくないです。


まずは、

「こういったものもブロックで出来ている可能性がある」

と、いう事を知ることが大切だと思います。

おしゃれなブロック塀
色を塗ったブロック塀(因みにこのブロック塀は何も問題は無いので念のため)


【ブロック塀の高さの見分け方】
典型的なブロック塀の場合、高さを簡単に見分ける方法があります。
ブロック塀のブロック1つ1つは、通常高さが同じです。

『1つ当たりの高さは、20cmです。』

ですので、5段積みになっていれば1m。8段なら、1m60cmです。
最初の写真は7段なので、1m40cmですね。


【法律違反とされるブロック塀の高さ】
地面から2.2mより高い場合は、建築基準法違反となります。

『ブロック11段より多いものは要注意』
です。
やたら高いブロック塀に気づいたら、まずは段数を確認してみて下さい。


【さらに注意が必要なブロック塀】

1.2m(ブロック6段)を超えるブロック塀は、ブロックに支えが必要です。
この支えを「控え壁」と言います。
下記の写真の擁壁から飛び出した(新しい)ブロックの部分です。
この支えを3.4m毎(ブロック9個毎)に設ける必要があります。
この写真では、ブロック8個(3.2m)の間隔があることが分かります。

ブロックが6段を超えているのに、この支えがない場合は、
要注意です。

『6段以上のブロック塀は支えがあるか確認!無ければ要注意!!』

ブロック塀の控え
ブロック塀の控え


【見た目以外にも注意すべきことがある】
外部から見分けがつきやすいのは、以上のように高さの確認と、支えの有無の確認です。
このほかにも、鉄筋が内部に入っているかどうか。基礎が適切にあるあどうか。
なども本来は調べる必要がありますが、ぱっと見では分かりません。

もし、どうしても気になる場合は役所等に問い合わせてみるのもいいかもしれません。


【持ち主さんが注意すべきこと】
ご自身が所有者として認められるブロック塀を敷地内に持たれている場合、
事故が生じた場合の責任は、所有者の方に問われることが基本です。
ですので、所有者の方はしっかりと補強などの対策をしておくと良いでしょう。

どのような状況なのかわからない場合は、設置した施工者に聞く、
それが分からなければ専門家に聞くなどすると良いと思います。


【ブロック塀以外の塀についてはもっと要注意!!】
石積みの塀、レンガ積みの塀など、街中には他の種類の塀もあります。
これらは、シンプルにブロック以外の石やレンガで出来た塀と考えれば良いでしょう。

規制はさらに厳しく1.2mの高さが最高とされています。
大体、大人の男性でで腰の高さ位までです。
これ以上の高さは改善が必要となります。


以上のことをお子さん達の通学路や公園までの道のり、
よく行く場所までの道のりなどで、該当箇所がないかどうか。
まずは調べてみることが大切じゃないかと思います。

 
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