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3階建ての超高断熱な木造事務所の着工 ~1年半の設計期間を経て~

このコロナ期間中、1年半ほどの時間を掛けて設計を行った、事務所ビルの工事が始まりました。
現状は、上棟が終わり完成に向けて工事が進んでいることろです。
3階建ての1000㎡ほどの建物で、この規模の木造建築はかなり珍しいようです。

今回、確認申請に利用した第三者機関では初めての物件だったようです。

しかし高断熱であることを確保しつつ、コストをなるべく抑えるためにはこの方法が一番でした。
施工上の難しさは別途ありますが、設計上の難所もいくつかありましたが、それをクリアーして着工に至っています。

断熱性能を向上させた事務所ビル

こちらの事務所ビルは3階建て、最上階が共同住宅となっていて1,2階が事務所用のスペース。
1階は主に打ち合わせスペースとなっていて、2階が事務所。
そして、こちらのビルではすべての開口をトリプルガラスの樹脂サッシを使用しています。

ですので、もちろん断熱性能はかなり高くなっています。

開放感がかなり高い事務所スペース

通常、大きなビルなどでは開口部における熱の出入りを抑えるためにエアーフローウィンドウと言ったような、複層のガラスの中に空気を流すような特殊なガラスを計画したりします。
しかし今回は木造の建物と言うだけあって、通常は住宅で利用する窓を利用して計画しました。

ビルですので、断熱ライン(外との境界)を設定するのは普通の住宅とは違ってかなり複雑です。
外部階段部分などの共用廊下が断熱ラインの外側となるため、断熱を施工する箇所はかなり入り組んだ形状となります。
また、自動ドアなどの特殊な建具についてはどうしても熱の出入りをある程度見込んでおかないといけない部分もありました。
とは言え、基本的な断熱性能がかなり高いので、冷暖房はかなり効きやすい建物となっています。

また、日射遮蔽については全ての大きい窓で内側にブラインドがつきます。
(効果だけであれば外部にブラインドを付けるべきですが、法律の制限やコストの問題で内側としました。)
窓ガラスも日射遮蔽を主に行うこととし、温暖化の将来を見据えた設計となっています。

大型の鉄骨階段の設置

鉄骨の大型階段

木造の建物ですが、階段は鉄骨によって作成しています。
重量はそれほどでもないのですが(とはいえ重い)、設置には精度が必要になります。
事前に製作側の鉄骨工場と打ち合わせの上、図面通りに綺麗に設置されました。

また、規模の大きい建物になると竪穴区画といって、防火上もし火事が発生しても階段を通って別の階に炎や煙が簡単に燃え移らないように遮ることが出来るようにしなければなりません。
今回の建物ではこの周りに防火用のスクリーンが設置され、火事を感知すれば自動的にスクリーンが降りてくるようになっています。

通常、住宅の計画においても階段の設置場所を計画することは一番難しく、重要なことなのですが大きな建物になると更に防火と言う意味合いにおいても重要になってくるのです。

木造の大空間の実現にあたって

木造で大空間を実現するために、構造計算を駆使しています。
なので、1階の梁においては相当大きな梁が設置されています。
この大きな梁がどこに来て、どれだけ上手く天井高さを確保するのかには相当の苦心を致しました。
一つ一つの梁の大きさを踏まえて、どのような高さの天井にすべきかを全て検討しています。

建物自体の高さの制限もあり、ここの難度が非常に高く木造建物ならではでした。
しかし、国の方では公共建築はなるべく木造とすることを奨励していることもあり、今後はこのような木造建物が増えると考えられます。

今回挙げた以外にも、設計上の難所はいくつもありましたが、高断熱木造建物によって少しでも地球温暖化への負荷を削減できるのであれば、そんなに本望なことはありません。
年明けごろに完成予定です。

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