日常のお仕事のお話

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3階建ての超高断熱な木造事務所の着工 ~1年半の設計期間を経て~

このコロナ期間中、1年半ほどの時間を掛けて設計を行った、事務所ビルの工事が始まりました。
現状は、上棟が終わり完成に向けて工事が進んでいることろです。
3階建ての1000㎡ほどの建物で、この規模の木造建築はかなり珍しいようです。

今回、確認申請に利用した第三者機関では初めての物件だったようです。

しかし高断熱であることを確保しつつ、コストをなるべく抑えるためにはこの方法が一番でした。
施工上の難しさは別途ありますが、設計上の難所もいくつかありましたが、それをクリアーして着工に至っています。

断熱性能を向上させた事務所ビル

こちらの事務所ビルは3階建て、最上階が共同住宅となっていて1,2階が事務所用のスペース。
1階は主に打ち合わせスペースとなっていて、2階が事務所。
そして、こちらのビルではすべての開口をトリプルガラスの樹脂サッシを使用しています。

ですので、もちろん断熱性能はかなり高くなっています。

事務に設置したのトリプルガラス
開放感がかなり高い事務所スペース

通常、大きなビルなどでは開口部における熱の出入りを抑えるためにエアーフローウィンドウと言ったような、複層のガラスの中に空気を流すような特殊なガラスを計画したりします。
しかし今回は木造の建物と言うだけあって、通常は住宅で利用する窓を利用して計画しました。

ビルですので、断熱ライン(外との境界)を設定するのは普通の住宅とは違ってかなり複雑です。
外部階段部分などの共用廊下が断熱ラインの外側となるため、断熱を施工する箇所はかなり入り組んだ形状となります。
また、自動ドアなどの特殊な建具についてはどうしても熱の出入りをある程度見込んでおかないといけない部分もありました。
とは言え、基本的な断熱性能がかなり高いので、冷暖房はかなり効きやすい建物となっています。

また、日射遮蔽については全ての大きい窓で内側にブラインドがつきます。
(効果だけであれば外部にブラインドを付けるべきですが、法律の制限やコストの問題で内側としました。)
窓ガラスも日射遮蔽を主に行うこととし、温暖化の将来を見据えた設計となっています。

大型の鉄骨階段の設置

鉄骨階段
鉄骨の大型階段

木造の建物ですが、階段は鉄骨によって作成しています。
重量はそれほどでもないのですが(とはいえ重い)、設置には精度が必要になります。
事前に製作側の鉄骨工場と打ち合わせの上、図面通りに綺麗に設置されました。

また、規模の大きい建物になると竪穴区画といって、防火上もし火事が発生しても階段を通って別の階に炎や煙が簡単に燃え移らないように遮ることが出来るようにしなければなりません。
今回の建物ではこの周りに防火用のスクリーンが設置され、火事を感知すれば自動的にスクリーンが降りてくるようになっています。

通常、住宅の計画においても階段の設置場所を計画することは一番難しく、重要なことなのですが大きな建物になると更に防火と言う意味合いにおいても重要になってくるのです。

木造の大空間の実現にあたって

木造で大空間を実現するために、構造計算を駆使しています。
なので、1階の梁においては相当大きな梁が設置されています。
この大きな梁がどこに来て、どれだけ上手く天井高さを確保するのかには相当の苦心を致しました。
一つ一つの梁の大きさを踏まえて、どのような高さの天井にすべきかを全て検討しています。

建物自体の高さの制限もあり、ここの難度が非常に高く木造建物ならではでした。
しかし、国の方では公共建築はなるべく木造とすることを奨励していることもあり、今後はこのような木造建物が増えると考えられます。

今回挙げた以外にも、設計上の難所はいくつもありましたが、高断熱木造建物によって少しでも地球温暖化への負荷を削減できるのであれば、そんなに本望なことはありません。
年明けごろに完成予定です。

 

賃貸住宅でも床を断熱する方法

今年も色々なところで、講演をさせて頂いています。

川西市では「川西消費者の会」さんが主催する生活学習講演会にてお話させて頂きました。
また、泉大津市では大阪府みどり公社さんが主催の省エネルギーをテーマとした講演会で講演させて頂きました。
京都府でも京都府地球温暖化防止センターさんが主催の勉強会にて講演させて頂きました。

そして、これらの一般の方を対象とした講演会では、必ず、

『今住んでいる家でも出来る対策』

を聞かれます。

なので、今回は我が家で実践している方法をお話したところ、意外にもとても反響があったので、ここでも共有しておきます。

それは、

「今住んでいる賃貸住宅でも、家を暖かくする方法はあるのか?」

と、言う趣旨の質問に対しての私なりの回答です。

家でできる簡単な断熱の方法とは?

下の写真を見て下さい。

卒FIT
家でも出来る簡単な床断熱の方法

これ、よくホームセンターなどで売っている、置き式のクッションマットです。
ジョイントマットとか、パズルマットとか言うそうです。

通常は、小さなお子さんがハイハイしたり、転んだりしても痛くないように敷くものです。
しかし、実はこの素材、

PE(ポリエチレン)とか、EVA(エチレンビニルアセテート)とかが素材として明記されています。

例えば、PE。これは同じ原材料で断熱材にも用いられているものなのです。
このクッションマットが、断熱材として適切かと言うと、そこまででは無いですが、
ある程度の断熱性能は期待出来るのです。

EVAもPEの原材料の一種です。

そして断熱をするためには、この中にある程度、気泡があると理想的です。
しかし、作り方が根本的に違うため、本当の断熱材と比べると気泡が少ないため、
性能には劣ります。
しかし、このクッションマットは実は多少なりとも断熱の効果もあるのです。

少しでも断熱することの大切さ

ここで大切なことは、少しでも断熱することで、熱の通る量は全然違ってくると言うことです。
断熱は全くない状態と比べると、少しでも断熱することで劇的に熱の通る量を変えることが出来るのです。

ですので、今回紹介した方法でも少なくとも床が冷たいと言う思いを改善することは十分に可能なのです。

しかも、手軽に買ってきて少しでも敷くだけで効果が実感出来ますから、是非とも一度試してみて下さい。

このような事は、一度自分で試してみて、その効果を実感することが出来てはじめて、その次にどうするか考え出すものだと思っています。

通販やアマゾンなどでも売っているようですので、よかったら試してみて下さい。

 

要注意なブロック塀の見分け方

普段の生活において、あまり危険視することのないブロック塀ですが、
地震によって小さな子供が被害にあうという非常に胸の痛い事故が起こってしまいました。
子を持つ親として、胸が苦しくなる思いをされているのは私だけではないかと思います。

何か出来ないかと考え、『要注意であるブロック塀』の見分け方が共有できれば、
今後の事故防止につながるのではないかと思い、ここに共有します。

要注意なブロック塀を見つけたら、役所などに報告することも良いと思われます。
市など公共の持ち物でない塀が殆どかと思いますが、役所を通して注意喚起して貰うことも考えられます。
(役所によって、対応は違うと思います。近所の小学校では早速撤去が行われていました。)
おそらく、役所も職員だけで全てを把握するのは不可能かと思いますので、
多くの方の協力が必要と思われます。


【ブロック塀とは】
典型的には、以下の写真のようなブロックで出来た塀です。
RCブロックと呼ばれる、穴が開いていて少しでも丈夫で軽くなるように工夫されたブロックです。
これをブロックのように積み重ねて作られたのがブロック塀です。

ブロック塀
典型的なブロック塀

しかし、実際には下の写真のように色を塗ったりすることで
ブロック塀とは見分けがつかないものも少なくないです。


まずは、

「こういったものもブロックで出来ている可能性がある」

と、いう事を知ることが大切だと思います。

おしゃれなブロック塀
色を塗ったブロック塀(因みにこのブロック塀は何も問題は無いので念のため)


【ブロック塀の高さの見分け方】
典型的なブロック塀の場合、高さを簡単に見分ける方法があります。
ブロック塀のブロック1つ1つは、通常高さが同じです。

『1つ当たりの高さは、20cmです。』

ですので、5段積みになっていれば1m。8段なら、1m60cmです。
最初の写真は7段なので、1m40cmですね。


【法律違反とされるブロック塀の高さ】
地面から2.2mより高い場合は、建築基準法違反となります。

『ブロック11段より多いものは要注意』
です。
やたら高いブロック塀に気づいたら、まずは段数を確認してみて下さい。


【さらに注意が必要なブロック塀】

1.2m(ブロック6段)を超えるブロック塀は、ブロックに支えが必要です。
この支えを「控え壁」と言います。
下記の写真の擁壁から飛び出した(新しい)ブロックの部分です。
この支えを3.4m毎(ブロック9個毎)に設ける必要があります。
この写真では、ブロック8個(3.2m)の間隔があることが分かります。

ブロックが6段を超えているのに、この支えがない場合は、
要注意です。

『6段以上のブロック塀は支えがあるか確認!無ければ要注意!!』

ブロック塀の控え
ブロック塀の控え


【見た目以外にも注意すべきことがある】
外部から見分けがつきやすいのは、以上のように高さの確認と、支えの有無の確認です。
このほかにも、鉄筋が内部に入っているかどうか。基礎が適切にあるあどうか。
なども本来は調べる必要がありますが、ぱっと見では分かりません。

もし、どうしても気になる場合は役所等に問い合わせてみるのもいいかもしれません。


【持ち主さんが注意すべきこと】
ご自身が所有者として認められるブロック塀を敷地内に持たれている場合、
事故が生じた場合の責任は、所有者の方に問われることが基本です。
ですので、所有者の方はしっかりと補強などの対策をしておくと良いでしょう。

どのような状況なのかわからない場合は、設置した施工者に聞く、
それが分からなければ専門家に聞くなどすると良いと思います。


【ブロック塀以外の塀についてはもっと要注意!!】
石積みの塀、レンガ積みの塀など、街中には他の種類の塀もあります。
これらは、シンプルにブロック以外の石やレンガで出来た塀と考えれば良いでしょう。

規制はさらに厳しく1.2mの高さが最高とされています。
大体、大人の男性でで腰の高さ位までです。
これ以上の高さは改善が必要となります。


以上のことをお子さん達の通学路や公園までの道のり、
よく行く場所までの道のりなどで、該当箇所がないかどうか。
まずは調べてみることが大切じゃないかと思います。

 

スタッフブログが始まりました!

スタッフブログが始まりました!
日頃の我々の活動をより多くお伝えする事ができるように、
ブログ初心者のスタッフが奮闘してくれています^^)

そのブログがこちらになります。
http://www.cms-izumi.com/stuff-blog/

家づくりってどんなものか、気になる方は参考になると思いますので、
良かったらご覧頂けたらと思います!

明るい家
2階ホールにて

これからも、多くの方の家づくりに役立つ情報をお届け致します!

 

近畿大学にて特別講演させて頂きました

近畿大学さんの生物理工学部は、和歌山県の紀の川市にあります。
自然に囲まれたとてものどかなこの場所で、依頼されていた特別講演をさせて頂きました。

大学院生を対象としたこの講演ですが、定期的に行っていらっしゃるそうです。
様々な社会人から話を聞いて、今後に役立てると言うコンセプトの講義のようですが、
登壇される他の方々のお名前を拝見すると、同じ講演の形式でお話させて頂くのが、
とても光栄な錚々たる方々ばかりでした^^;

近畿大学生物理工学部
近畿大学生物理工学部の校舎

そんな中、まだまだ人間としても企業人としても発展途上である私が、
どんなお話しようかとかなり悩んだのですが、
私がどこか大きな企業の創業者のような成功話を出来るわけもなく、
こんなことをしたら、大きな成功が出来ました。
と、言えるような話も出来ないと思い、最終的には

「話せることは自分の経験しかない!!」

と、私が今に至るまで、如何に失敗を繰り返してきたかという話を中心に、
その失敗から何を得、どのように今に至っているのか。
と、言った話をさせて頂きました。

改めて今までの経験を振り返ってみると、殆ど失敗や挫折、苦い経験を経てここまで来ているように感じます。
話は、阪神大震災にて実家が倒壊し、祖父が亡くなったところから始めさせて頂きました。
そこで、何を感じ、どんな行動をしたのか。

また、大学に入ってから何を失敗し、そこで何を学んだのか。
今思えば、何をもっとしておくべきだったのか。

就職先に選んだ会社は、どのような思いで選んだのか。
そして、就職してからどんな失敗や経験をしたのか。
そこで得たものは何だったのか。

丁度、この講義に参加してくれた学生たちと同じ頃の
自分の話をさせて貰いました。

そして更に、今こうして独立し、仕事というものをどう捉えているか。
そして、仕事上は絶対について回る、お金というものについて、
自分はどう考えているのかと言ったことをお話させて頂きました。

私は、
「お金は信頼の対価」

と、考えています。
なので、その順番が逆になるような事は、絶対に避けるべきと考えています。
お客さんに信頼して貰って、始めて何かを提供し、その結果としてお金が入ってくる。
なので、お金が目的となってしまっては本末転倒と考えています。

そして、仕事とは「自分に出来ない(無い)何かを、相手を信頼して任せること」だと思っています。
なので、何かしらの人の役に立たなければそれは、仕事とは呼べないと思っています。

それが、誰の役に立つのかは立場によって変わるのだと思いますが、
少なくとも、自分に返ってくるのはその後だと思っています。

やりたい仕事、自分にあった仕事を探すのもとても大切なことだと思いますが、
それだけでは、仕事としては成り立たないと思います。

そう言った、普段の心掛けのようなお話についても話をさせて頂きました。

聞いてくれた学生達から、熱心な質問がいくつか飛んできました。
私が建築の人間なので、事前に質問を考えて来てくれていたように感じる学生もいました^^

この講演を通して、もし何か少しでも今の足しになったのであれば、
本望だと思っています。

今回の講演に呼んで頂けたことをとても感謝しています!!

 

岡山にて樹脂窓(樹脂サッシ)についてお話させて頂きました

お世話になっている、大学の先生に私をご紹介頂き、
樹脂窓(樹脂サッシ)を扱っているメーカー(YKK AP)さんの主催するセミナーで、
樹脂窓やZEH(ゼロ・エネルギー住宅)、高断熱住宅の今後についてのお話をさせて頂きました。

今回は岡山にてお話をさせて頂いたのですが、他にも和歌山や三重等でもお話をさせて頂きました。
今回の講演を聞きに来て頂いたのは、200名以上の工務店さんや建築士さん、建築材料の流通関係の方です。
沢山の方にご参加頂き、とても光栄なことでした。

APWフォーラム
会場には沢山の方に集まって頂きました!

2020年までに、国が新築住宅の半分をZEH(ゼロ・エネルギー住宅の略で"ゼッチ"と言います。)にすると言う目標を立てて、
今では、それに対する補助金などが沢山出ています。

経済産業省がこのZEHに関する「ZEHロードマップ検討委員会」なるものを結成し、
そこで、ZEHとはこういうものだ。というものを「とりまとめ」に記載しています。
今回のこの「とりまとめ」の中の6ページにある、「ZEHの判断基準」というものを参考にすると、
UA値と言う、家全体の断熱性能を表現する数値が、比較的温暖な地域で0.6(W/㎡・K)と言う数字以下であることが、記載されています。

この意味は、
「ZEHを計画するのであれば、通常、国が最低限と規定している断熱性能

 比較的温暖な地域で0.87(W/㎡・K)

 よりも、より高い断熱性能の家を計画しなさい。」
と、いう意味です。

これをより確実に実現するためには、樹脂窓(樹脂サッシ)を利用することが、
一番、優先順位が高いと言えます。
しかし、この基準。
 あくまでZEHとするための最低基準と言う位置づけなので、注意が必要です。)

APWセミナー
丁寧にご紹介頂きました

今回、私がお話させて頂いたのは、樹脂窓(樹脂サッシ)が今後普及するかどうかと言ったお話でした。
私は、ZEHの最低断熱基準を目標にしてしまうと、今後、樹脂窓(樹脂サッシ)の必要性は薄まってしまうと考えています。
(樹脂窓(樹脂サッシ)でなくても、上の断熱基準はクリアーしてしまうからです。)
しかし、

「世の中に求められているものが、本当にZEHなのか?」

と、言った視点に立つと話は全く変わってきます。
より快適で、より健康的な住宅を目指した時、
必ず、断熱性能の良い窓は必要になります。
その時に必要となるのが樹脂窓であり、樹脂サッシです。

私個人的には、樹脂窓(樹脂サッシ)は、今後必ず普及すると考えていて、
それは何故かと言った理由について、色々な過去の事例や、数字的な根拠を元に、
お話をさせて頂きました。

今回は、プロ向けにお話をさせて頂いたので、
一般のこれから家づくりをされる方に対して、
知っておくべきことをここで、あえて挙げるとすれば、

「より快適で、健康的に暮らそうと思えば、家の断熱性能を高くすることが必要(十分条件でない)で、
 そのためには、窓を断熱性能の高い窓(樹脂窓(樹脂サッシ)など)にすることが、
 優先順位として一番高い。」

と、言うことが言えます。

そして、今回の講演では更にその先を見据えたお話をさせて頂きました。
(※割りと評判が良かったそうです。)
まだ他に2会場ほど講演予定をしております!

 

建築学会近畿支部のシンポジウムに参加してきました

建築は、科学でなくエンジニアリング(工学)である。
家を建てる施主にしてみれば、科学であろうが、工学であろうが、
きちんと建てさえしてくれれば、どっちでもいい事かもしれませんが、
建築学会とはそう言う事を大真面目に話し合う、建築業界において最大の権威ある学会です。

日本の建築基準法などは、この学会を通した内容をもって、
議論されることもしばしばあります。

建築学会近畿支部のシンポジウム
建築学会近畿支部シンポジウム

そんな建築学会の近畿支部において、
「環境が形態を決める」-建築エンジニアリングの最前線-

と、題されたシンポジウムが開催されました。

この支部において、事務局をされている方が、
丁度、私と近畿大学で授業を一緒に受け持って頂いている先生だったと
言うこともあり、シンポジウムに誘って頂きました。

普段から、
スマートウェルネス住宅等推進モデル事業
と言う、住まいの断熱性と健康との関連性を全国的に調査する事業で、
お世話になっている、慶応大学の伊香賀先生も登壇され、このモデル事業の
前段階での調査結果などについてお話をされると言う事で、
私も楽しみにしていました。

沢山の先生方がお話をされたのですが、その中で私が最も面白いと感じたのは、
神戸芸術工科大学の齋木学長のお話でした。

齋木先生の今回のお話は、イギリスのロンドンの郊外にある、レッチワースと言う街の
お話でした。

イギリスが工業化の時代に入り、ロンドンの町並みがどんどん悪化していく状況を見て、
エベネザー・ハワードと言う人がロンドンの郊外にもっと人々が豊に暮らせる街を作ろうと提唱し、
実現したのが、田園都市と言われるレッチワースです。

約100年前に作られたこの街が、今もその最初に計画された予定通りの町並みを保ち、
今でも緑豊かで、永続的な人々の出入りが実現している、理想的な街のお話でした。

日本では、無秩序な都市開発が隅々まで行き渡っていってしまったために、
外国人が日本の町並みを見て、「汚い町並み」と揶揄されるようになってしまいました。
悔しいのは、まだ明治維新前に鎖国状態であった日本を見た、イギリス人やアメリカ人は、
息を飲むほど美しい国だったと、言っていた史実があると言う事です。

田園都市であるレッチワースの特徴は、やはり緑が豊であること。
豊かな緑が心のゆとりや生活の安心感など、我々日本人がどこか置いてきてしまったであろう、
「生活の質」を与えてくれている。そんな気がしてなりませんでした。

今の日本の多くの土地開発は、山を切り裂き、限られた土地をなるべく沢山区切り、
そこになるべく多くの建物を建てて、「儲けること」が重視されています。

それに引き換え、レッチワースは土地の所有者の利益より、町並みを醸成し、
人々の暮らしの質が高くなることによって、その街全体の価値(金銭的にも価値が上がる)が上がって、
居住者全てが恩恵を受けるそんな街を100年も前に構想していたのです。

私はこの話を聞いて、悔しい思いがしてならなかったです。
我が子が道を歩く時、危険な自転車や自動車に鉢合わせて事故が起きないかばかりを
気にしなければ、歩くことすら出来ないこの町並み。

歩いても歩いてもまだまだ遠い公園。

我が子は緑が好きなようで、草を見つけては立ち止まって、
しゃがんでその様子を眺めています。

彼にもっと偉大な自然をすんなり感じさせてやる方法は、
他に無かったのでしょうか?(そう言う場所に引っ越せばいい?)

今、日本では空き家の問題が取り沙汰されています。
しかし、一方で今まで人が住んでいなかったような場所で、
山を切り裂き、自然を破壊して、特定の人間の儲けのために、
宅地が作られ続けています。

何かおかしく無いでしょうか?
本当に日本人は、豊になったのでしょうか?

そんなことを考えさせられるシンポジウムでした。

 

スマートウェルネス住宅の啓発シンポジウムを開催しました。

スマートウェルネス住宅と言う、健康的で、省エネな住宅を普及させるべく、
弊社が事務局として運営する、「おおさか健康・省エネ住宅推進協議会」と、「(一社)健康・省エネ住宅を推進する国民会議」とが、 主催者となり、
大阪府さんの後援を得て、大阪におけるスマートウェルネス住宅とはどうあるべきかを 話し合う、シンポジウムが開催されました!

国民会議シンポジウム
シンポジウムの開催風景

(一社)健康・省エネ住宅を推進する国民会議とは、元々NPO法人シックハウスを考える会において、
代表をされていた上原先生が作られた団体です。

上原先生は、「シックハウス」の名付けの親で、当時、上原先生ご自身が施主となり建てられた住宅において、
お子さんが、まだ名前の無かったシックハウス症状を発症させた事をキッカケに、
「何かおかしい」と気づいた先生(先生ご自身は、歯科医です。)が、色々な専門家の協力を得て、
その原因が、当時使用されていた接着剤などに含まれた、ホルムアルデヒドなどの揮発性有機化合物であると、
突き止め、それが原因で発症する症状を「シックハウス症候群」と名付けられました。
そこから、屋内での換気の重要性がわかり、今で言うシックハウス法と言う法律が出来上がるまでに至りました。

そんな上原先生が更に家を建て替えられ、出来上がった家がまた「健康」とは程遠い、
不健康住宅と言ってもおかしくない住宅だったのです。

その結果、「健康的な住宅とは何か?」を様々な専門家の協力を元に3度めの正直で、
建てられた住宅が、「高気密・高断熱住宅」でした。

そして、その高気密・高断熱住宅をよくよく調べていくために、
また新たに、専門家の集団として出来上がった会が、(一社)健康・省エネ住宅を推進する国民会議です。

そんな(一社)健康・省エネ住宅を推進する国民会議が、
高気密・高断熱住宅を言い換えた、スマートウェルネス住宅を普及・啓発させるための団体として、
国(国交省)に採択されました。

今回のシンポジウムは、その活動の一環として開催されたものです。
そして、弊社が運営する「おおさか健康・省エネ住宅推進協議会」は、
この(一社)健康・省エネ住宅を促進する国民会議(全国組織)の、賛同地域団体として、
活動をする団体です。

国民会議上原
国民会議理事の上原先生からのお話

今回のシンポジウムでは、一般の工務店さんやビルダーさん、ハウスメーカー、更には一般の人や市町村関係者を
対象に開きました。
100人近い人が聴衆として、おおさかにおけるスマートウェルネス住宅とは、どんなものか?
どうすれば良いのかを話し合うシンポジウムに参加頂きました。

北川友克議員
北川友克議員のご挨拶

シンポジウムでは、環境副大臣をされていた北川知克議員や、元大阪府知事の太田房江議員現大阪府の副知事である小河副知事などが来賓として挨拶に来られ、
なかなかの盛況ぶりでした。
(※注意 (一社)健康省エネ住宅を促進する国民会議が、議連設立の意見書を出し、
健康省エネ住宅推進議連」(超党派と言う、様々な党の議員さんが参加する勉強会)が設立されました。
今回は、その中の事務局長である北側議員や大阪に縁のある議員さんをお招きした次第です。)

その2へ続く

 

スマートウェルネス住宅の啓発シンポジウムを開催しました。 その2

意見交換を行うパネルディスカッションにおいては、
「おおさか健康・省エネ推進協議会」において、
役員をされている、方々に参加頂きました。

副会長である、近畿大学建築学部長の岩前教授や、
顧問の大阪大学大学院医学系研究科の祖父江教授、
同じく顧問の元大阪大学医学部講師の中山先生、日本主婦連合会の東瀬会長、
オブザーバーとして協力頂いている、大阪府まちづくり部居住企画課の三崎課長、
大阪歯科大学講師の今井先生
らが、意見交換を行いました。

スマートウェルネスとは、住まいにおける健康や省エネについて、ですのでそれぞれの立場から、
こうあるべきと言うお話がなされました。

岩前教授は、住宅の断熱(室内の温度)と、健康との関連性を示された、パイオニア的存在の方です。
もちろん、大阪のスマートウェルネス住宅にとって、如何に断熱が重要かと言う事が、ポイントでした。

パネルディスカッション
パネルディスカッションの様子

また、大阪大学の祖父江教授は、専門領域はガンが専門ですが、疫学者(病気の原因やパターンを研究する)と言う立場から、
この住まいが疾患に影響を与えうる可能性を調べる事の大切さについて、お話されました。

シンポジウムの司会
太田が司会をさせて頂いている様子

今回、このシンポジウムは国土交通省が公募した、スマートウェルネス住宅等推進モデル事業
一環として、開催されたのですがこの事業、簡単に言うと、
「住まいの温度が体に与える影響」
を、建築の専門家と、医師の専門家とで協力して、全国的な調査を実施し、
その影響具合を調べようと言う、10年掛かりを予定している大規模調査を行うことを、
周知するためのシンポジウムです。

そして、その調査を元に得た結果を踏まえて、大阪に適した、スマートウェルネス住宅とは何かを
作って行こうじゃないかと言う話し合いの場でもあったのです。

このシンポジウムを発信源として、住まいと断熱性能(家の中の温度)との関連性について、
詳しく知ってもらい、また、温度が体に与える影響具合を調べるための調査の協力を
促すために開催されました。

おおさか健康・省エネ住宅推進協議会では、産・官・学が連携して、
大阪型のスマートウェルネス住宅のあり方を見つけ、それを普及させることを目指して、
今後も、活動を行っていく予定です。

具体的には、住まいと健康との関連性を調査する事業を既に始めています。
こちらでは、住宅の断熱リフォーム前後で、どの程度、室内の温湿度が代わり、どのていど血圧や活動量が変わるのかを
測定します。リフォームには、最高で120万円の補助金も用意されていますので、
もし、もっと詳しく知りたいと言うことがあれば、以下からお問い合わせ下さい。

//www.towntv.co.jp/mailform.html

 

経団連にて健康・省エネ住宅のシンポジウムを行いました!

弊社が参画している、
「健康・省エネ住宅を推進する国民会議」

毎年恒例となっていますが、
今年も経団連会館にて、シンポジウムを行いました!

このシンポジウムは、「断熱性能の良い家」が、
如何に健康に寄与するのかを、医学的な観点から解明するために
活動を行っている我々が主体となり、
広くその活動を知らせるために、
超党派で結成されている、健康・省エネ住宅推進議連の議員さんや、
解明活動の手助けをしてくれている、お医者さん、建築の世界の教授などが、
講演者やパネラーとなり、活動の意義や内容について、発表していくシンポジウムとなっています。

毎年、議連を代表して挨拶される議員さんは、有名な方ばかりなのですが、
今年は、高村自民党副総裁が挨拶をされました。
(昨年は、元国交大臣の前田議員、一昨年は総理になる前の安倍首相でした。)

また、シンポジウムのパネラーには、国交省の住宅局の局長さんや、
厚生労働省の老健局の局長さん、
建築の分野では、ドンと言われている、村上周三先生。
循環器系の大家のお医者さんである江里先生が、参加されました。

詳細はコチラ「国民会議」のページで

聴衆も毎年ながら、200名以上もの方が参加され、
中には、建築の分野でものすごく活躍されている方も多数参加されています。

私は、運営側として受付などのお手伝いをしたのですが、
まぁ、盛大と言って間違い無かったと思います^^

健康・省エネシンポジウム
室内の温度と血圧の関係について

シンポジウムの内容は、要は、

「温度差のある住宅内では血圧の変動が激しい」

→「温度差のある住宅内では、結果として循環器系の疾患が多くなるのでは?」

→「だったら、温度差を解消すれば、循環器系の疾患が少なくなるはず!」

→「じゃぁ、それを調べてみよう!」

と、言う事を様々な分野の権威の方が、色々な角度から話をされます。

高度医療と長寿命
高度な医療が長寿を生み出す訳ではない!

今回のお話の中で、特に印象に残っているのが、
お医者さんである、江里先生のお話。

この先生のお話は、分かりやすく、かつ面白いので、毎年印象的なのですが、
今年もやはりいちばん印象的でした^^

どんなお話かと言うと、

例えば、上の写真の話では。

「もし、医療が発達していれば、長生きだとしたら、」

→「医者の数が多くて、高度な医療機器が揃っている東京が一番長生きなはず」

→「しかし、実際はそうでない。」

→「つまり長生きの秘訣は、生活習慣にある!」

この話の真髄は、どんどん医療費を国費でつぎ込むよりも、
国民の生活習慣を変える方がよっぽど効果的と言う話にもなりますし、
また一方、我々ひとりひとりに対しても、問いかけられているもので、
普段の生活習慣の大切さをお話されているものです。

そして、生活習慣の一つとして、今まで最も重要なのに軽視されてきた、
『住環境の改善による、生活習慣の改善効果』

の重要性と言うお話に至ります^^

つまりは、我々の活動が如何に重要で、
この活動が医学的に証明されて、公に認められれば、
医療費を減らし、国民の負担を減らし、
健康寿命を延ばすものだと、言うお話でした。

健康寿命については、コチラを参照

断熱性能の良い、暖かい住宅が、どれだけ健康に寄与するか。
その解明は、既に近畿大学の岩前教授によって、調査され、
効果が高い事は分かっています。

今度は、それを医学の世界や国に認めさせるための活動です^^
10年と長いスパンでの活動になりますが、世の中の一助となれば、光栄です!

 
 
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