「エアコンにカビはつきもの」と言うのはご存知でしょうか?
エアコンは構造的にカビが発生しやすい機構となっています。
カビはほとんどの場合、人を死に至らしめるような劇的なものではありません(一部発がん性があるものがあります)。
しかし、エアコンを可動させた瞬間は、10分程度内部のカビが放出されると言う報告があり、
咳などのアレルギーの原因となる場合もあるようで酷い場合には過敏性肺炎になることもあるようです。
小さい子供や赤ちゃんのいる家庭なら、悪い影響が及ぼさないように気をつけたいことだと思います。
エアコンをつけたときに、カビの臭いがしているようだと対処の必要がありそうです。
(ただし、どの程度カビ汚染したら健康に影響があるのかは不明なようです。)
今回はそんなエアコンで発生するカビの発生原因と掃除、予防、防止方法についてです。
先日、京都大学の芝蘭会館という場所にて、日本建築学会の熱環境委員会と言う委員会が運営する、「第48回 熱シンポジウム」と言うものが開催されました。
湿気(シッキと読む)に関する研究や調査が多く発表された今回のシンポジウム。
私も聴衆者として参加させて頂いたのですが、その中でカビに関する調査研究を行っていらっしゃる先生の発表がありました。
「熱シンポジウム」が京都大学芝蘭会館にて開催されました
その中で、カビの生育に関する話がありました。
日本においてカビは湿度80%を下回っていれば、あまり発生しないということが言われています。
しかし、海外においてはこの基準がより厳しく、70%以下である必要があるとされているそうです。
というのも、湿度74.5%の環境が120日間継続するとカビが発生すると言う事例があるのだそうです。
海外の基準がどうであれ、"高い湿度状態が続くこと" によってカビが発生する要因になります。
(カビは、高い湿度、酸素、ホコリなどの栄養素が元になり、生育していきます)
エアコンにカビが生える場合、エアコンの内部で何が生じているのでしょうか?
その謎に迫ったのがこちらの論文。
「ルームエアーコンディショナーの除湿による内部保水量の確認実験」
私がお世話になっている京都大学の小椋教授も研究されている内容です。
こちらによると、エアコンのドレンパンと呼ばれる部分にはかなりの長い時間、除湿した水が溜まった状態となっているようです。
こちらの水が原因で、湿度の高い状態が続き、カビが生育しやすい状況となっているようです。
エアコンが構造的にカビが生えやすいのはこのためです。
エアコンのドレンパンに水が溜まってしまう
それでは、このような状況の中でエアコンにおけるカビを防ぐにはどのようにしたら良いでしょうか?
まず、カビの生育条件としては、"栄養素"があることです。
このカビの栄養分となるのは、ホコリや油分であることが多いようです。
ですので、なるべくこれらを取り除いてやることが必要です。
ただ、フィルターや手の届く範囲、あるいは専用のスプレーで冷却フィンや送風ファンなどの内部の掃除は可能ですが、見えない、あるいはスプレーも届かない場所の掃除には無理があります。
完全に常にホコリを取り除くことは難しいと思われます。
次にカビの育生には酸素が必要です。
しかし、この酸素を取り除くことはまず無理でしょう。
(部屋中の酸素を取り除けば可能かもしれませんが・・・)
最後にカビの好む湿気を取り除いてやることです。
先程あったようにドレンパンに水が溜まる状況が続くことに問題がなのですが、
エアコンでも一部の機種で、「内部乾燥」と言う機能を持ったものがあります。
これは、機器の中を乾燥させると言う機能なのですが・・・・
エアコンの中にカビが生えやすい時期は、夏です。
この内部乾燥と言う機能、どのように乾燥させているかと言うと、
ほとんどの場合、内部を温めることで乾燥させています。
なので、その影響で部屋の中が暖かくなってしまうという、全く矛盾したことが生じてしまいます。。。
(何のための機械やねん!と、言いたくなります)
※ただ、臭いが一番気になるのは、夏のドレン水が残ったまま放置され、次にスイッチを付けた、暖房の時期の方が多いようですが。
それでは、エアコンの内部の湿気を取り除くにはどうしたら良いでしょうか??
いや、取り除こうと思うからダメなんだ!!
と、言うことでカビの生育を防ぐ最も良い方法(!?)は、
【エアコンを稼働し続けること!!】
なのです。
これは、冗談でもなんでもなく、エアコンはスイッチの入り切りを繰り返すほど、
カビの数が多くなるそうです。
そして、エアコンは稼働状態だと室温が設定値になり止まっても、
送風の空気を送り続ける機種があります。
これであれば、機器内の乾燥状態が維持され、カビが生育しにくい状況となります。
つまりエアコンは、カビ対策においても24時間使用し続ける方が良いのです!!
しかし、これをやろうと思ったら、きちんとした高気密・高断熱住宅でないと、
電気代が大変なことになるでしょうが・・・