2018年10月

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家を暖かくするとインフルエンザは防げるか?その結果は?

先日、四條畷市の田原台と言う場所においてシンポジウムが開催されました。
これは、昨年に引き続き行われたシンポジウムで、私も断熱リフォームの実例紹介と言うことで、登壇させて頂きました。

今回は、近畿大学建築学部長である岩前教授のご講演もあり、ご参加頂いた方には非常に面白くてためになるシンポジウムだったのではないでしょうか。

岩前先生による快適と健康の違い
岩前先生による快適性と健康との明確な違いのお話

岩前先生のお話は、いつもためになるだけでなく、必ず聴衆者を惹き込むような面白い笑いのあるお話があります。
本日も、岩前先生の岩前節が炸裂して、会場内は暖かな雰囲気に包まれていました^^)
今回のお話では、「快適」と言う感覚がどうも「健康」と直結していると勘違いされている方が多く、実際にはこの両者は全然違うと言うお話がありました。
「例えば、タバコなどはその例で体は快適に感じるのですが、実際には体に良くない。
 これが家の快適性にも当てはまり、実際に快適に感じても健康とはかけ離れていると言うことがあり、それが家の寒さなのだ。」
と言うお話でした。

更に近年では、これらの事が公に認められつつあり、本年の4月には学校法が改定され、それまで学校では『10℃~30℃』までであれば、良しとされていた基準が、『17℃~28℃』にしなければいけないと言うことになりました。しかも、これは「子どもたちの健康と快適」を維持する目的とされています。
参考)「学校環境衛生基準の一部改正について(通知)平成30年4月2日 文部科学省

このことについて如何に画期的なことなのか岩前先生よりお話があり、会場にいらっしゃった方々もとても興味深く聞いていらっしゃいました。

この後、私の方からも同じ田原台において断熱リフォームをされた事例を発表させて頂きました。
結果としてお話したことは、
それまでリビングでは20度を下回ることが多かったのですが、リフォーム後は20℃を下回ることが殆ど無くなったと言う事実。
暖かくなるとその方は、血圧が明らかに下がったという事実。

を、お話させて頂きました。

四條畷市長登壇のパネルティスカッション
四條畷市長も登壇されたパネルディスカッション

そして最後には、四條畷市長の東市長(日本で一番お若い市長ですが、とてもしっかりされている方です。)と田原台を代表するメンバーの方々を交えてのパネルディスカッションが行われました。
このパネルティスカッションにおいて、非常に重要だったお話は

昨年のこのシンポジウムの話を聞いて、実際に寒い時期の部屋を暖かくしてみました

と、言うお話だったのではないかと思います。
小学校のPTA会長を務められていらっしゃるのですが、今回はその立場と言うよりかは一人の母親としてやってみたことをお話されていたと思います。

聞くところによると、
「昨年は忙しくて、インフルエンザの予防注射に行けなかった。」

そうです。そんな折思い出されたのは、昨年のシンポジウムでお話した、
『家を暖かく過ごすように心がければインフルエンザの予防になる』
と言うお話でした。

「実際に心がけて家の中を暖かくするようにしてみました。その結果、家族の誰も風邪をひくこともなく冬を越すことが出来ました!

と、言う非常に貴重なお話をして頂きました^^)

このように、実際に実践されて初めて"実感すること"これが、一番重要に思います。
我々も色々な場所で、啓発活動としてお話をさせて頂きますが、どれだけ説得したとしても習慣はそうそう変わるものではないと思います。
ですので、"実際にやってみて感じて頂く"これ以上に効果のあることは無いと思います!

これを読んで頂いている皆様も、是非試してみて頂けたらと思います。

追伸)
シンポジウムの後に、パネルティスカッション登壇者の方々と懇親会が行われました。
東市長にもご参加頂いたのですが、非常に気遣いが卓越された方で、博学でもありました。
私が東市長と同い年だったころは、こんなに周りに気を配ることは出来ていなかったなと。
(まぁ、今もですが・・・)
素晴らしい方でした^^)

 

通風による生活 in宮古島エコハウス

沖縄は暑いイメージがありますが、実は夏場でも気温が30℃を超えることは殆ど無いそうです。
これは沖縄が島で、常に海からの風が吹いているためにそれほど地表面の温度が上がらないからのようです。

沖縄本島から300kmほど南に離れた宮古島においても同様のことが言えるようで、沖縄に生活する人は窓を開けて通風で暮らすと言う習慣が昔からあるようです。

宮古島市では、市が運営する宿泊施設として宮古島市エコハウスと言う施設を運営しています。
エアコンを使用せずに自然なエネルギーである通風を活かして生活することで『省エネで環境への負担が少なく、かつ快適な暮らしができる』と言うことをコンセプトとしています。
(ですので施設の中にはエアコンが設置されていませんでした。)

宮古島市が運営するエコハウスには2種類のエコハウスがあり、市街地型と郊外地型があります。
今回、我々はそのうちの市街地型エコハウスに宿泊させて頂きました。
(宿泊費にはビックリしました・・・)

市街地型の宮古島エコハウス
風を通すための花ブロックが使用されていた

宮古島市が運営するエコハウスは、どちらも伊志嶺敏子さんと言う沖縄を代表する建築家さんが設計されていらっしゃいます。宿泊の晩、我々は設計者である伊志嶺敏子さんともお会いし、いろいろなお話を聞かせて頂きました。
(とてもお若い、非常に情熱あふれる方で、とても有意義な時間を過ごさせて頂きました!)

伊志嶺さんは普段から「誰でも作れるディテール」「使えるものは使う」と言うコンセプトをお持ちで、今回の建物も、それらを意識して設計されたそうです。
例えば、外装に使用している「花ブロック」などはその典型と言えるかもしれません。
この花ブロックは、沖縄では昔から利用されているブロックで一般的には透かしブロックと言われるものです。ブロックでありながら通風することが可能やように、穴が空いています。様々な種類の花ブロックがあり、積み上げるととても綺麗な模様のように見えます。

この花ブロックを利用して、外部との境界を作りながらも通風を可能とし、更に花ブロックの屋内側にもう一重の開閉可能な窓を有した外壁を設置することで、夜でも防犯上問題なく、必要に応じて通風が出来るように設計されていました。

市街地型の宮古島エコハウス内観
あらゆる方向から風を通すことが出来るようになっています

屋内側は、どちらの方向からでも通風させることが可能なように、沢山の開口が設けられていました。
ちょうど、上の写真の左奥に花ブロックが見えますが、花ブロックが外部との仕切りとなり、その内側にさらに開け締めが可能な開口が設けられていました。こうすることで夜間に窓を開けておいても防犯上も安心して就寝することが出来るようです。

実際に訪れて試してみて分かったことは、最初に四方の窓を全て開けれるだけ開けてみたのですが、意外とそれではあまり風が入ってきませんでした。ですので、今度は風道を考えて、風が吹いてくる方角の窓を開けるのと同時に、風が出ていくと想定される窓を開けて、他の窓は閉じてみる。と、いうことをやってみると、今度はとても良く風が入ってきます。
つまり、風をより良く通そうと思ったら、「風が出ていく側の窓」がどこなのかをしっかりと想定して開けることが重要なことに気が付きました。冷静に考えると、当たり前なのですが、実際に体感してみるとそのことがとても良く分かります。

この経験は、私がパッシブ設計を行う上でとても貴重な経験で、風道を考えることの重要性を示唆していると感じました!

翌朝、伊志嶺さんはわざわざご自宅の庭で生っているシークワーサーを我々のために持ってきてくださいました!これは前夜に、庭にシークワーサーが生っているという話になり、シークワーサーが入ると、濃いはずの泡盛がジュースのようになると言った話から、ご親切にも持ってきて頂けると言う酔の席でのお話を覚えていて下さったからでした!!

とても貴重な体験をさせて頂いた上に、色々お世話になり、感謝感謝です^^)

 

近未来!VPP(バーチャルパワープラント)って何でしょう?

【HEMSや太陽光発電の設置がより重要になりそうです!】

先日、私が所属する(公益社団法人)空気調和衛生工学の省エネルギー委員会、住宅省エネルギー研究小委員会にて、沖縄の宮古島にて行われているVPP(バーチャルパワープラント)の実証事業について、調査視察に行ってきました。

実証事業は、現在「宮古島における島嶼(とうしょ)型スマートコミュニティ」という事業名称で宮古島において実証が行われています。

宮古島においては、沖縄電力が供給する電力事業の赤字が続いていて、他の離島でも同様の状況だそうです。これらを解消したいとインセンティブが働いて、平成23年から、「宮古島全島EMS(エネルギーマネージメントシステム)実証事業」というものが以前から行われていました。現在の事業はこれを引き継いたものとなっているようです。

VPP(バーチャルパワープラント)と一言でいっても、かなり複雑で実現にはいくつかのハードルがあるようです。

VPPとは、簡単に言うと太陽光発電や風力発電など、通常の火力発電などの発電所とは違って、比較的小規模の発電施設を上手く纏めてコントロールし、必要な時に必要なだけ供給できるようにするシステムと言うイメージです。

この纏め役をするのがアグリゲーターと呼ばれる役目の人々で、これから先はこのアグリゲーターの存在が重要になってくるようです。

これが上手く世の中に浸透すれば、先日九州電力管内で行われた太陽光発電の出力制御のようなことが適切に行うことが可能となります。
また、北海道で生じたようなブラックアウトの危険性も低くなるようです。

宮古島では太陽光発電を主力電源(主要な発電施設)と位置づけられるように様々な実証実験が行われています。
例えば、来間島と言う、宮古島に隣接する小さな島で行われた実証実験では、88世帯(約220人弱)、公民館、小学校に太陽光発電を380kw設置。これに対して、蓄電池(リチウム)を176kw✕2を設置して、時給自足の生活が出来るのかを確認したようです。
この実証試験では、
「太陽光発電と蓄電池」
だけで生活出来るかを確認したようです。
ここで得られた知見としては、 蓄電池容量が足りないということと、天気の予測精度がかなり重要と言うことが分かったようです。

来間島のVPP実証実験
来間島で実証実験が行われた村

来間島の景色
反対を見れば、こんなに綺麗な場所でした!!

<宮古島におけるVPPに必要なこと>
・それぞれの家庭や施設の消費電力を計測し、それを一つに集める機器の普及
 HEMSに代表されるように、その建物で消費されているエネルギー量を計測し、
 その情報を集計先に送るシステムの普及が必要です。

・太陽光発電などの発電する機器の普及
 電力の供給元としての発電機器の普及が必要です。

・必要なエネルギーの平準化
 太陽光発電は昼間に多く発電し、夜は全く発電出来ません。
 しかし、普通の住生活では夜にも電力は消費するので、これをより単純化する必要があります。
 エネルギーを使う時間をずらしたり、エネルギーを蓄電池などに貯めることで実現を模索しているようです。

以上のようなことが実現できれば、事前に必要なエネルギー量を予測し、必要なエネルギーだけを作って生活すると言うことが可能となります。

これらの実証実験の結果は、将来の我々の生活においても活かされる可能性があります。
ドイツにおいては、既にこれらのことが実現し、既に電気においてはほぼコントロールが可能になっているようです。そして、次の課題として、電気よりも遥かに多くのエネルギーが必要な熱(お湯や暖房)を余った電力で賄えないかと言う、新たな取り組みに進んでいるようです。

ここでこれから家づくりをされる方に対して参考となるのは、
HEMSや太陽光発電の設置
と、言うことが今後さらに重要になりそう
だと言うことです。
(ただし、蓄電池に関しては、V2Hと言って、車を蓄電池の代わりにすると言うことが、
 世の中的に進むかもしれません
ので、注意が必要そうです。)

 

2018年グッドデザイン賞受賞! エネマネRハウス

我々が昨年提案した、エネマネRハウスがグッドデザイン賞を受賞しました!

エネマネRハウス/グッドデザイン賞
グッドデザイン賞を受賞した「エネマネRハウス」

エネマネRハウスとは

2017年に開催された大学対抗のコンペのエネマネハウス2017において、
近畿大学が提案した新しいコンセプトの住宅。

昭和50年代以降のかつてのニュータウンにおける住宅を対象として、それらの住宅を如何に活かすかを提案。

窓を媒介して容易に脱着できる「窓辺のカートリッジ」を利用しつつ、必要な空間だけに限定して超高断熱化を実施。
また、設備機器は全てこの超高断熱仕様にした住宅に適するように改造し省エネ化を実現。
更に、使わないスペースを「ルームガーデン」と名付け、地域住民との対話の場所としての活用や各々の趣味を実現する場所として提案。
ゼロエネルギーであることは遥かに凌駕し、LCCM住宅の粋まで省エネ化を実現。
(LCCM住宅とは:https://www.towntv.co.jp/2012/07/lccm.php

また、エネファームから排出されるCo2を活かすため、ルームガーデンにおいてのじゃがいも栽培を提案。ジャガイモはある一定の高濃度Co2で成長が促進されることが分かっている。
これによっても省エネの本来の目的である、Co2発生の抑制に繋げている。
更に将来像として、近畿大学の鈴木先生はジャガイモを利用して発電を行う研究を行っている。
(鈴木高広教授の近未来研究所:http://www.imo-lab.jp/

エネマネハウス2017での提案内容の概要はこちら↓
https://www.enemanehouse.jp/college/kindai/

グッドデザイン賞とは

デザインとして新たな「発見」→「共有」→「想像」があることに対して送られる賞で、毎年開催される。デザインの優劣を競う制度ではない。
グッドデザイン賞といえば、受賞の証である「Gマーク」が有名。
審査対象は幅広く、車などの工業製品や絵本、アプリケーションやサービスに至るまで様々なモノやコトに対して審査が行われる。

受賞概要はこちら↓
https://www.g-mark.org/award/describe/47867?token=0Qb2qlwkVn

エネマネRハウス/ルームガーデン
エネマネRハウスのルームガーデン

今回の受賞を受けて、エネマネ2017で受賞した3賞に加え、4冠を達成したと言うことになります!
色々なところで評価をして頂いてありがたいお話です。
今ではプロジェクトリーダーの松岡先生をはじめ、学生さんたちとあーだこーだと頑張っていた日々が懐かしくも感じます。既に学生さんたちの多くは社会人となり、世の中で奮闘していることだと思います。

エネマネRハウスの本質は、今世の中にある住宅ストックを活かすと言うことにあります。
2030年までに日本が掲げた省Co2の国際公約を実現するためには、新築建物のゼロエネルギー化だけでは全然足りません。
なので、今建っている住宅の省エネ化、ゼロエネルギー化していくことが今後日本では必要になってきます。そんな時代背景を含めた今回の提案は、これから活きてくるのだと思います。

 
 
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