家づくり関係のお話

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設計士さん向けのセミナーでお話致しました

とあるメーカーさんからのご依頼で、私が現在、非常勤講師としてお世話になっている、
近畿大学さんの講堂にて、普段仕事でプランナー、設計士さんをされている方々向けのセミナーにて、
お話をさせて頂きました。

会場には沢山の建築士さん、プランナーさん達が集まって頂き、
岡山の方から来られている方もいらっしゃいました。

今回のセミナーでは、省エネ住宅をテーマに近畿大学建築学部長である、
岩前教授がファシリテーターと言う立場で、セミナーを進行していき、
私はその中の第1部設計編と言うパートのお話をさせて頂きました。

岩前教授
このセミナーの趣旨について、全体感をお話されました

まず、岩前先生のお話では、
「快適」な住いを語る時、それは「満足感」を示している場合が多く、
個人が感じる「快適」には様々な種類があり、必ずしも「こうでないといけない」
と、言う事は無い反面、

「快適」というものは、「健康」とは一致しない場合も多く、
そこを混同しているフシがあるのは如何なものか。

と、言った趣旨のお話がありました。

そして、健康を維持することこそが、現在の社会問題である、
医療費や介護費負担の増大を緩和するための最も望ましい解決手段であり、
そのための家を考えることが重要であると言う、とても示唆に富んだお話をされ、
省エネと言う視点だけでなく、健康への配慮と言った視点からも家づくりを考えるべき
と、言ったお話の後に私へとバトンが渡されました。

設計セミナー
設計士さんたちを前にお話させて頂きました!

そして、私の方からは「省エネ」を実践するための実際の業務に
沿ったお話をさせて頂きました。

同じ、設計士さんと言っても様々な立場で仕事をされています。
ですので、どんな方がいらっしゃってもある程度、話を聞いて良かったと
思ってもらえるように、基本的なお話から、最先端のお話までを散りばめて、
お話をさせて頂きました。

省エネには2つの大きな軸があり、そのどちらもバランスよく設計に活かすべきこと。
また、実現した省エネを可視化するためには、どんな方法があるのかとか、
実際に可視化して比べる方法、などと言ったお話。

そして、これから約30年先の未来に向けて予定されている省エネの話。
などをさせて頂きました!!

今回、公聴頂いた方の中には近畿大学で実際に教えておられる准教授の先生まで
いらっしゃっていて、大変光栄でした!

後日、この准教授の先生とジックリとお話をする機会があり、
今後、もっと密に連絡をとりあって、近畿大学での授業を盛り上げて行きましょうと
意気投合し、良い連携体制ができそうです。

私のお話の後は、石川組と言う香川県の工務店さんの石川社長による、
施工編のお話でした。

経験に富んだ面白いお話で、
「デザイン住宅」
の危うさについてのお話は、実際のご経験を元にしたお話で、
とても聞いていていためになるお話でした。

そして、それらの経験を踏まえて、
今後の住宅をどうするべきかと考えた結果、
やはり省エネ性能を兼ね備えた、快適で健康的な住宅が
一番良いと言う結論にたどり着いたそうです。

また、もう一つ印象的だったお話の中に、
リフォームの依頼があって、
「明らかに寒い」と感じるようなご自宅のお客様の家を訪ねた時、
その家の方は、まるで寒くないかのようにお話をされるのだが、
やはりあれでは健康には良くないだろうと感じ、アドバイスをしたのだが、
全く聞く耳を持ってもらえなかったと言うお話を聞いた時、
最初の岩前先生の話をリンクし、

「快適は、健康とは一致しない」

とは、まさにこの事なのだろうと改めて実感。

岩前先生が例えていた、
「タバコは快感(快適)に感じるが、健康ではない」

と、言うのがまさにこの事なのだと認識。

私自身も面白いお話が沢山聞けて、とても充実したセミナーでした!!

 

屋内温度と健康に関するシンポジウム IN大阪 その1

3年掛けて全国調査を行ってきた、スマートウェルネス住宅等推進事業における、
中間発表が先日行われました。

今回の調査では、断熱リフォーム前後における住い手の血圧や生活習慣、
身体活動量など健康への影響を調べてきました。

そして、中間発表でこの3年間で分かってきたことが発表され、
改めて、大阪でその内容についてお話頂く場として、シンポジウムを開催致しました。
私も大阪での活動内容について、お話させて頂きました!

屋内温度と健康に関するシンポジウム
沢山の方がご参加下さいました!

まずはこの調査を取り仕切っている委員会の幹事である、
慶應義塾大学の伊香賀俊治教授にお越し頂き、講演頂きました。

その内容でとても重要なことをここで挙げておくと、

◯まず、目安としてイギリスの基準などを参考にすると
 「屋内は18℃以上」
 であることが良いとされています。

◯今回の調査の結果、在宅時の居間の平均温度が18℃を下回っているご家庭が、
 "約6割!!" 

 太田解釈:つまり、日本の住宅は改めて寒い!!と言う事が言えそうです。

◯断熱リフォームを行ったご家庭の在宅時の居間の温度は、上昇傾向
 (有意に(明らかな)差がある場合で約2℃差)

◯室温の低下が血圧の上昇の影響は、高齢者ほど大きい

◯断熱リフォームにより、温度上昇があれば血圧も抑制される!!

◯温度上昇により、夜間頻尿にも改善がみられた!!

と、言ったことが主にお話されていた内容です。
もちろん、これら意外にも沢山のことが分析されていて、
あらゆる面にとって、寒さが人間の健康に悪影響を及ぼしていそうだということが、
示されています!!

慶応大学 伊香賀教授
慶応大学 伊香賀教授のお話

更に、今回はお医者さんの立場でありながら、
住居の寒さが、健康に悪影響を与えるのではないかと言う視点で、
調査研究されている、奈良県立医科大学の佐伯先生にもお越し頂き、
お話をして頂きました。
(※この3月に教授になられました。)

佐伯先生が、なぜお医者さんの立場でありながら、
このような研究に没頭されるようになったのかと言うと、

奈良県十津川村でのプライマリ・ケア診療(どんな病気でもまず、最初に治療に当たる)の、
ご経験が発端だそうです。

ここでは、どんな病気にも対処するのですが、その場で対処が出来ないとなった場合、
十津川村から他の医療機関に行くまでに、1時間~1時間半掛かるそうです。

更に、十津川村は広く、ご自宅で病気が発症し、そこからプライマリ・ケア診療を
受信するまでも道のりが長く、1時間も掛かるそうです。

急病の場合、最初の3時間でどのような対処をするのかで、その後が決まるそうで、
物理的に医療では難しいと感じられたそうです。

そこで、必要になるのが「病気を予防すること」

と、言う思いに至ったそうです。

そして、医学研究のトップジャーナルである、
The Lanset」では「日本において1年に10万人が過剰に冬に亡くなり、これは煙草による死者数と同じ」
と報告されていて、予防をするなら温度が重要なのではないかと思われたそうです。

そして2010年より研究を始められ、様々なことが分かったそうです。

◯10℃違う環境で、血圧にどれだけ差が出るか?
 冬は服を厚着していれば大丈夫という話があるが、実際には5.8mmHgもの差があり、
 服を着ているだけでは、対処出来ないことが分かった。

◯寒い家に住む人は、塩分摂取量が多くなる!!
 これは、マウス実験でも同様のことが分かっている。

◯外気温は関係なく、屋内温度が寒いと血小板の数が増える!!
 血小板は多すぎると、血管が詰まる。

と、言ったことが統計学的にきちんと処理した上で、
分かってきていると言う事でした。

奈良県立医科大学 佐伯講師
奈良県立医科大学 佐伯先生のお話

 

ATCエコプラザさん主催のセミナーで講演させて頂きました

大阪の南港には、大阪市さんが運営に携わっている
アジア太平洋トレードセンター(ATC)と言う施設があります。
この中に、エコプラザと言う、省エネやエコロジーをテーマに、
様々な省エネグッズやエコロジーに役立つ情報などを展示している場所があります。

今回は、このエコプラザさんが主催となって、
大阪市住まい情報センターさんにある会場にて、
今のおうちでもっと健康・快適に~末永く暮らす4つのヒント~
と題して、セミナーが開催され、講演をさせて頂きました。

エコプラザセミナー
会場の様子

今回のセミナーでは、前半に健康的に過ごすために、"今の家に対して出来ること"
をテーマに『室温と健康への影響』について、現在わかっている最新の内容について、
お話をさせて頂きました。

更に、これらの室温を実現するためにはどういうことをすれば良いのか。
と言うお話を、"4つの重要ポイント"に分けてお話させて頂きました。

お話をさせて頂いた後に、
「暖房、冷房について我々は節約が美徳と教育されてきたように思う。
 それに少し前までは国の施策として節電が叫ばれてきた。正しいことを国、
 企業一体となって教育することが大切ではないか」

と、言ったご意見があり、なるほどなと思いました。

しかし、現時点では"国"が声高には室温の影響を"教育"するまでにはまだ至っていません。
我々は、この現状を変えるために、「確かな証拠」をつきとめる活動をし、
それらを国に報告するための活動を行っています。

※一部、経済産業省の資源エネルギー庁にて、「体への負担が小さくなる」
 と、紹介されています。
 資源エネルギー庁「http://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saving/zeh/
  『6.快適性に優れた住宅について』
 ここでも、我々の活動について紹介されています。

また、企業の側ではそれぞれの『損、得』感情があるため、
一体となってと言う事は恐らく難しいことだと感じています。
なので、少しでも多くの方にこれらのことをご理解頂くために、
我々はこういった活動を続けています。

エコプラザセミナー講演内容
断熱性能と健康との関連性について

後半部分では、前半で紹介した4つのヒントを実現するために、
何をすれば良いのかと言う事を、それぞれの"専門家"の方に
ご登壇頂き、お話をして頂きました。
更には、実物を展示して、その効果を見てもらうように、
用意されている方もいて、参加されている方もとても関心を持って、
聞いたり、触ったりされていらっしゃいました。

講演後のアンケートを見させて頂くと、
「話がはっきりしていて聞きやすかった!」
「太田先生の講演はとても分かりやすく納得ができ参考になりました!」
といった声が沢山あり、本来、目指している

お客様のかけがえのないみちしるべとなれ!

と言う、点について進んでいる方向が間違っていないことを確認できました^^)
今後も、精進あるのみです!

 

住宅供給公社さんの団地におけるリフォーム開始

大阪府住宅供給公社さんの団地建物において、
現在お住いの方の住居に対して、断熱リフォーム工事を行いました!
こちらは、国が補助金を支給しながら行われるスマートウェルネス住宅等推進モデル事業
一環として行われているものです。

壁断熱工事
壁への断熱工事

大阪府住宅供給公社さんのご協力元、行われたこの断熱リフォーム工事。
この工事は、国の事業とし進めている調査の一環となります。
調査とは、リフォーム前後で居住者の方の健康状態がどのように変わるのかの調査を指します。
この調査の詳細内容は、こちらのホームページに記載がありますが、簡単に説明すると、
リフォーム前の血圧の状態や温湿度の状態、活動量の状態と、リフォーム後の状態の変化を調査するものです。
これらの調査にご協力頂けると申告して頂けた方に対して、リフォーム工事を行いました。

今回、こちらの住戸では壁への断熱工事と窓への断熱工事を主に行いました。
今まで、全く断熱材が入っていなかった状態と比べると、相当暖かく、快適に住むことが可能となるはずです。

計算上のリフォーム後の断熱性は、ゼロ・エネルギー住宅(ZEH)を実現する際に、
満たしておくべきとされている断熱基準を上回る性能となっています。
ですので、従前と比べると相当な断熱性能になっています。

内窓工事
窓への断熱内窓工事

今までは、窓や玄関ドアからの隙間風に悩まされていたと話される方が多いこの住戸において、
窓の内側にもう一つ窓を設けて、隙間を少なくすることは、体感上も非常に効果があります。
また、今回は玄関ドアもカバー工法と言う方法によって、新たな玄関ドアに変身します。
「特に玄関ドアのポストの部分からの隙間風が、寒かった」と話をされていた方も多かったのですが、
こちらも大幅に改善されるはずです。


センサー設置
壁内へセンサー設置

今回は壁の中にセンサーを入れて、壁の中の状態も計測します。

今回の調査を通して、新たに分かったことは、年明け頃にまずは速報として
報告が予定されています。

より安全で、より快適な住まいとはどのようなものなのか。
それがハッキリと解明されて、
更により広く、より多くの方が健康的で、末永く元気に生活できるような住まいが
提供できるように。

これらの調査が実を結ぶ日もそう遠くはないような気がしています!

 

木と健康との関連性について 「森のママまつり」にてお話させて頂きました!

最近、テレビで何かと取り上げられる事も多い、
南港のATCさんにて、「森のママまつり」なるイベントが開催されました。
こちらのイベントでは、森(木)に関する色々なイベントや展示、出店などが行われており、
大変盛況なイベントでした。

そんな中、森のママまつりの中で行われるステージでの講演にて、
お話をさせて頂きました。

森のママまつり
森のママまつりにステージにて

内容は、「木が視界に広がる家」が如何に心や体に良い影響を与えるのかについてのお話を、
体に良い影響を与えると言うつながりから、冬でも暖かく過ごせる家が、如何に体に良い影響を与えるのか。
また、それについての大阪での調査で分かってきたことについて、お話をさせて頂きました。

その一例をここで紹介すると、部屋の中に木目が見える環境に居ると、
人はその見た目や香りにより、リラックス効果を得ることが分かってきています。
こちらの農林水産省の林野庁のホームページでは、杉の香りと脳波へのリラックス効果について、記載されています。

また、我々が運営するおおさか健康・省エネ住宅推進地域協議会による調査によって、
屋内の気温がどの程度人の血圧などに影響を与えるのかを調べた結果についても、
お話をさせて頂きました。

このようなワイワイした雰囲気の会場で、お話を聞いていただくのは難しいだろうと考えていたのですが、
とても熱心に聞いてくださる方、相槌をうってくださる方もいて、私としてもとても刺激的な体験をさせて頂きました。

おおさか健康・省エネ住宅推進地域協議会のブース
おおさか健康・省エネ住宅推進地域協議会のブース

また、更にこの日には、この森のママまつりが開催されている会場の真上にある、
おおさかグリーンエコプラザさんの展示施設内にて
おおさか健康・省エネ住宅推進地域協議会が運営するブースが開設された日でもあります。
こちらでは、実際に過去におおさか健康・省エネ住宅推進地域協議を通して断熱リフォームされた方の事例や、
その断熱リフォーム前後で行われた、健康調査の結果についても(許可のある分だけですが)、掲示させて頂きました。
もっと多く、広い方々に断熱リフォームや冬でも暖かく過ごせる住宅の重要性をしって貰うべく、開設したブースです。

ここでは、様々な情報が得られるように、リフォームを実際に実施された方へのインタビュー動画や、
リフォーム前後で、どこがどのように変わるのかを見て知って頂くための展示、
なども同時に行っています。

南港ATCさんのITM棟11階にて、この展示ブースの見学が可能です。
個人の方なら予約無しで、団体なら予約後に見学が可能です。
http://www.ecoplaza.gr.jp/inspection/classify.html#group

また、希望すれば専任のスタッフさんによる案内付きで、
見学も可能です!

それから、年明けの1月29日には、今度はATCさん主催のセミナーを
大阪市の住まい情報センターさんで行います。
こちらもまだ参加を募集している段階です!
今のおうちでもっと健康・快適に

暖かい家の大切さを多くの人に知って頂けたらと思っています!!

 

ジャパンホームショーに行ってきました!

ジャパンホームショーと言う、住宅に関する建材の展示会に参加してきました。
ジャパンホームショーとは、毎年開催される住宅の比較的新しい建材が一同に介して展示される展示会の事です。
あまり見たことがないような新しい建材も多数発見できるため、私も行けるときには参加させて貰っています。

同時期に同じ会場で開催されていた、JAPANTEXという見本市では、
インテリアとデコレーション関係の材料を展示されていて、こちらにも一緒に足を運んできました。

どちらも結構面白いものが置いてあり、そこで見つけたものの一部をここにも掲載させて頂きます。

まず最初に、JAPANTEXの会場に入ると、目にとまるのが数々のカーテンの展示です。
カーテンはそれこそ無数にあるのですが、ここではちょっと珍し目のカーテンがあったのでそちらをご紹介致します。

ストリングカーテン
ストリングカーテン

こちらはストリングカーテンと呼ばれるもので、お店などでこのようなカーテンで、
仕切りの代わりとしているところは、よく見掛けます。
写真はモダンなイメージの素材ですが、場合によってはいい感じで利用できるかもしれません。

襖建具
襖建具

こちらは、茶室などで使えそうな高さを低く抑えている襖です。
襖にも色々なデザインがあります。今回は職人さんが考えた、様々なデザインの襖を展示してありました。
そしてこのブースの隣では、実際に職人さんが襖を貼る実演を行っていました。
下手くそがやると、すぐに襖の紙が波波になってしまうのですが、コツが必要なようでした^^

手書きの壁紙
手書きの壁紙

こちらの赤いものは何に見えるでしょうか?
実はこれは壁紙です。壁紙に職人さんが実際に手書きをして出来上がったものだそうです。
とても印象の深い赤色をしています。
和紙なんですが、和だけでなくモダンな雰囲気にも合いそうな風合いを醸しています。

ロールスクリーン
ロールスクリーン

更にこちらはロールスクリーンです。
最近、ロールスクリーンでは様々なデザインのロールスクリーンがありますが、
このように記事に直接切り抜きで模様を入れているのは珍しいと思います。
意外とロールスクリーンに良いイメージが無い方も多いのですが、
探してみると、きっと気に入るものがあるのでは無いでしょうか?

組子のような障子
組子のような障子

こちらは、まるで組子でもしているかのような障子です。
とても細かい作業をされているのだと思います。
私は個人的にはこのような幾何学模様がとても好きです。
許されるならこう言った障子を楽しみながらお茶を飲んでいたいものです^^

こうやって並べていると、私は職人さんが作るものに反応している気がします!

物干し竿用のフック
物干し竿用のフック

更に今回見つけたものの中で、私が気に入ったのがこの物干し竿を掛けるためのフック
意外とこう言ったものは種類が少ないような気がしているので、面白いなと思いました。
普段は折りたためるので、屋内にあってもスッキリ思想ですね!

このような感じで、様々な展示を見ることが出来るジャパンホームショー。
ほぼ、丸一日掛けて会場をまわってみましたが、意外な事に気づきました。

それは、出店されている方の中に結構知り合いが居ると言う事です。
流石に、様々な活動をさせて頂いているので、私も知っている方がかなり増えてきました。
こう言った大規模な展示会ともなると、そう言った方々とお会いして、新たなお話を聞くことも、
役に立つものだなと感じた一日でした!

 

遮熱に配慮した沖縄の住宅

冬場でも暖房をつけることは殆ど無いと言う沖縄。
逆に夏においては、暑さ対策やカビ対策がとても重要になるようです。

訪れた視察住宅の奥に進むと、LDKが表れます。
そこでは、心地の良い温湿度が実現されていました!

遮熱を施したLDKの温度
夏の真っ昼間でも、LDKは28.3度と快適です!

この日の那覇の外部の気温は、30.3℃とそれほど暑くは無かったのですが、
エアコン2台の稼働で、家中を冷房しているそうです。

遮熱を施したLDKの湿度
湿度もまた、快適範囲を保っています!

そして、我々が大人数でおしかけたにも関わらず、比較的湿度も低い状態を保っていました。
これには、断熱による工夫や、受けた熱射を逃がすための工夫、
屋内空気の循環に関する工夫など、様々な工夫がなされていました!

このあたりの対策に加えて、沖縄ではカビがとても重要な対策になるそうで、
屋内にこもった湿気によるカビが発生しないように、
床下に対する工夫などもなされていて、
我々もとても良い勉強となりました^^

大変熱心な工務店さんで、今回の視察の間にも、
我々が持ち込んだ計測用の機器についても、高い関心を示されていました^^

お互い、今後も良い情報交換をしていこうと言うお話になっています!

紫微鑾駕(しびらんか)
紫微鑾駕(しびらんか)

天井をみあげると、紫微鑾駕(しびらんか)と書かれた札のようなものに、
袋と昆布のようなものがぶら下がっていました。

これは、大阪などで通常天井裏に掲げられる、御幣(ごへい)と似たようなもので、
新築の家の守護を願う護符だそうです。
この護符に塩と米と昆布をぶら下げて、当時に清める意味もあるようです。

紫微(しび)とは中国から伝わる道教の言葉で、
北極大帝すなわち北極星の神を指し、
鑾駕(らんか)はその神が駕籠に乗って降りてくることで、
除災招福(災いを除き、福を招く)の呪語のようです。

ここにも沖縄独特の文化がありました!

ロケーションの良い沖縄の住宅
ロケーションが最高です!

そして、2軒目のお宅を訪ねると、そこは、見晴らしの良い高台の上に建てられた、
なんとも贅沢なロケーションの建物でした^^

先程の住宅でもそうですが、窓はやはり熱を一番通しやすい部分とあって、
樹脂製のペアガラス窓を採用されています。

こちらの住宅でも夏の日射対策を行っていて、本来であればその視察に訪れたのですが、
写真を撮っていて感じたことは、その土地で生まれ育った材料を利用すると、
なんと写真映えするだろうと感じたことです。

真っ青な空が広がっていて、その晴天下にある住宅。
このような建物が例えば大阪にあったとしても、大して似合わないだろうし、
沖縄の地においては、コンクリートで作られた建物よりも遥かに溶け込んでいる感覚を
味わうことが出来ました。

こと、町並みを考えたとき、その地のその場所にある材料を使用して建てることこそ、
本当にその地に溶け込んだ、良い建物ができるのかもしれないと思わされる一幕でした。

窓からの最高の景色
心から癒やされそうな風景が広がっていました!!

そして中に入ると、雄大な景色が切り取られていました^^;
視察の本来の目的を忘れてしまいそうなその景色に圧倒さます。
毎朝このような景色を眺められるのは、さぞかし癒されることでしょう。

ただ、この窓においても夏の日射が入らないような工夫がなされていると共に、
高断熱の窓を用いて、暑さ対策が行われていました。

よく、プロの中にも樹脂製の高断熱窓だと夏が暑くなると言ったような、
誤解を招くような話をする方もいますが、それは、「遮熱」と「断熱」の違いを
よく理解されていないのだろうと思われます。

こうして、現実に沖縄で樹脂製の高断熱窓を利用して、
快適に(そして、最高のロケーションで)生活をされている事実を目の当たりにすれば、
それが完全な誤解であることが分かるはずです。

いずれにせよ、今回の視察で、夏の対策にも断熱が有効であり、
それには遮熱がセットであると言うことがよく分かる視察でした!!

今後も、今回視察させて頂いた工務店さんとは、長いおつきあいをさせて頂きたいところです^^

 

ヒンプン(ひんぷん)のある沖縄の家を見学してきました!

(一社)空気調和衛生工学会の省エネルギー委員会の住宅設備指針検討小委員会の
活動の一環として、沖縄の伝統的な木造住宅を引き継ぎつつ、
新たな知見を取り入れながら家づくりに取り組んでいる工務店さんの視察に行ってきました!

沖縄では、コンクリート住宅が長い間メインになっていました。
しかし、こちらのコンクリート住宅は、日本が戦争に負けた後に、
アメリカが入ってきたことにより、だんだん広まってきた住宅であり、
本来の沖縄の伝統的な木造住宅とはかけ離れています。

今回、我々は伝統的な木造住宅のエッセンスを引き継ぎつつ、
新たな知見を取り入れている工務店さんの取り組みを知るために、
視察に訪れました。

ヒンプン(ひんぷん)
ヒンプンのある沖縄の伝統的な住宅

昼頃に那覇空港に着いた我々は、まず沖縄の伝統的な木造住宅の中で、
ソーキそばの食べられる店で、工務店さんと合流しました。
上記の写真はそのソバ屋さんの店先です。

沖縄の伝統的な家屋の門にはヒンプン(ひんぷん)と呼ばれる、
魔物除けの壁が設けられています。
こちらの壁は、魔物が直接家の中に入ってこないように、
設けれられている壁で、中国の屏風が由来とのことです。

一般的に男性や客人は右側を通って入り、女性は左側を通って入るそうです。
そして、その右側奥には離れの建物があり、我々はそこで昼食を頂きました。

沖縄民家の離れ
沖縄の伝統的な木造住宅の離れ

沖縄の伝統的な住宅も"木造住宅"です。
こちらの離れは、沖縄の特徴的な赤色の瓦ではない離れですが、
かなり年季の入った建物です。
母屋の方は、赤色の屋根瓦となっていましたが、
こちらも修理の後が見られました。

台風の被害を防ぐためには、木造よりも鉄筋コンクリート造の住宅の方が良いと言う事で、
最近までは鉄筋コンクリート住宅が多かったようですが、木造住宅も進化し、
大概のことでは、昔のように台風による大きな被害を受けることは無くなったので、
改めて木造住宅が見直されだしているようです。

そして、今回視察に訪れた工務店さんの手がける住宅は、
単に沖縄の伝統的な木造住宅を復活させるというだけに留まらず、
断熱や遮熱の技術を用いて、如何に暑さを防ぐかと言う取り組みも行っていらっしゃいます。
我々はその取組について、今回視察に訪れました。

お話によると、沖縄では冬場でも殆ど暖房をすることは無いそうです。
(ただ、沖縄でもコタツは売ってるし、場合によってはコートを着るそうです。
 暑さに慣れている分、寒さに敏感だそうです。)

ですので、住宅を計画する際には主に"暑さ対策"を講じることがメインとなるそうです。

そう言った授業を昼食中に受けた後、午後からいよいよ建物見学に伺いました!

沖縄の住宅
沖縄の最新の木造住宅

まず、最初に訪れたのはこちらの建物。
琉球瓦と呼ばれる、赤色の瓦がやはり雰囲気を醸し出しています。

伝統的な住宅では、ヒンプン(ひんぷん)があるので、基本的に建物自体には玄関ドアを設けないそうです。
しかし、やはり最近の建物では玄関を設けないわけにはいかないようで、こちらの建物でも玄関ドアがありました。

また、暑さ対策の基本中の基本として、窓は全て樹脂サッシを利用。
やはり暑さ対策にも重要な要素として取り入れられているそうです。

早速、屋内に入ってみると。。。

屋内ヒンプン
屋内にあるヒンプン(ひんぷん)

ありました!ヒンプン(ひんぷん)です!
こちらは、琉球石灰岩と呼ばれる、こちらも沖縄ならではの石灰岩を利用して作られています。
沖縄の文化がここに継承されていました!

私は文化とはそのままの形だけで受け継がれるべきものとは考えていません。
文化は時代に応じて、適切に変化し、その形を変えつつも精神を受け継いで行く。
それこそが文化の継承において重要な要素だと思っています。
そうでも無いと、どんどん文化が時代に取り残され、やがて消えて行ってしまうと思うからです。

今回、こうして文化が受け継がれている姿を目の当たりにして、
私の考えは間違いでは無いと言う事を改めて実感致しました^^

こちらの住宅を見学していると、まだまだ驚かされることが沢山ありましたが、
それはまた次報にて。

 

実験住宅で宿泊してきました!

富山県黒部市に建てられた、とある企業さんの実験住宅にて、宿泊させて頂きました!
こちらの住宅では、実生活に近い形でのさまざまな実験が行われているようです。
毎年、建築学会と言う建築における最大の学会において、さまざまな発表をされているので、
きっとこの住宅にて分かった新たな事実も、発表されるのではないでしょうか。
(パッと見た感じでは、今回の九州で行われた建築学会の一年に一回の大きな
 九州での発表大会では、まだそう言った内容は見られませんでしたが。)

宿泊の夜には、この企業さんがブラジルで実際に栽培していると言う、
コーヒー豆を、炒るところから始めて、味あわせて頂きました^^
とても香ばしく、家中にその香りが行き渡って、なんとも贅沢な気分にさせて頂きました。

コーヒー一杯飲むのでも、炒るところから始めることで、
こんなにもゆったりとした時間が流れるのだと改めて感じさせて貰える瞬間でした!

忙しい暮らしの中でも、たまにはこう言った一時を楽しむ時間が持てれば、
豊かな気持ちになるものですね。

今後の参考になる、とても良い体験でした!

黒部市の実験住宅
実験住宅の外観

今回この黒部への出張では、宿泊もさることながら、
もう一つ、駅前で開発が行われている共同住宅の見学もさせて頂きました。

こちらには、現時点で3棟の共同住宅が建てられていて、
こちらは、それぞれの棟がそれぞれの建築家さんが自然の力を利用すると言うテーマに沿って、
建てられた共同住宅です。

パッシブタウン
今回の計画の模型

現在、3期までの計画が進められていて、2期工事まで終わっている状況でした。
上の写真は、一般の方でも入ることが出来る、今回の計画のコンセプトを紹介した、
展示施設にあった模型です。

お話を聞くと、計画は第6期まであるそうです。

日の入り具合に配慮されていたり、風の流れに配慮されていたり、
面白かったのは、地下の駐車場まで、昼光(太陽の光)を取り入れる工夫がされていたところです。
(そもそも、地下駐車場があること自体に驚きましたが・・・・)

共同住宅ですので、通常の一戸建て住宅に比べると、建物が大きいので、
建物自体が風の流れを遮らないように、配置が工夫されている計画。
湧き水が潤沢にあるこの場所において、特殊な給排水計画を用いて、冷暖房の足しにしている計画。
建物の躯体に熱が伝わらないように、工夫されている計画。

などなど、共同住宅だからこそ言った工夫が凝らされていました!

実際にこちらの街区に入ってみると、私が一番良いなと感じたのは、
「緑が多い」ことです。

パッシブタウン2
緑の多い街区

普段、大阪に住む私にとっては、こんなに緑の多い清々しい場所で住めることこそ、
大きなパッシブなんだろうなと感じました。
緑と共に住むことは、手間の掛かることです。
折角の綺麗な緑も、誰かが手入れをしてやらなければ、荒れ果ててしまいます。

日本が開国する以前の話、海外の船から日本を見て、
日本がハッとするほど美しい国だと思われたのには、
この手入れの行き届いた、緑にあったとも言われています。
私は、きっとこれこそが日本人が受け継いでいくべき、文化なのでは無いかと感じています。

だって、自分がこんなに落ち着くのですから、
やはりそう言うDNKとかアイデンティティがあるのでは無いでしょうか。

そんなことを改めて感じた見学でした!!

 

健康・省エネシンポジウムⅨ IN経団連 が開催されました!

今年も恒例の経団連会館にて、健康・省エネシンポジウムが開催されました。
今回で、早くも9回目になります。

今年も様々な分野の「リーダー」とされる方々が出席され、
今後の日本の住宅のあり方について、様々な角度からお話されました。

今回は、「住宅と健康に関する最新の研究から」と題して、
(一社)健康・省エネ住宅を推進する国民会議の会長であり、
(一財)建築省エネルギー機構の理事長もされている、
村上周三先生(この分野における、まさにリーダーです。)が、現在分かっている住宅と健康との関連性を示す、
調査研究データをとても詳しく、ご紹介されました。

また、我々が国民会議の一員として調査協力している、
健康調査についてもお話され、この調査の社会的な意義について、
お話されました。

今回は、イングランドの公衆衛生庁で健康保護についての部署を担当されている、
Angie Boneさんも公演され、英国における住宅と健康に関する取り組みについて、
お話されました。
中で印象的だったのは、イギリスでは寒い日に暖かく過ごすべきと言う事に対して
都度警告を発信する必要があるかどうかについて、
検討がなされていたようで、色々な調査の結果、死亡リスクが高くなるような外気温になった時に、
警報を発しようとすると、冬の殆どの日に警告を発することになるので、
それならば、いっそのこと住まいを断熱化し、暖房するほうが重要だという結論になったそうです。
(前提として、暖かく過ごす環境を作ることは必須となっています。)

そのようなイギリスでの考え方を参考に、日本ではどのような対策をすることが
大切なのかを考えていく必要がありそうです。

村上 周三
健康・省エネ住宅を推進する国民会議 村上 周三会長

今回のシンポジウムでは、議員連として健康・省エネ住宅を推進することの重要性について、
検討をする会の会長をされている、高村議員も来賓の挨拶に来られました。
寒さに対する規制や法律などを作ろうとすると、厚生省が管轄になって、それらの内容について、
検討することになるようなのですが、高村議員は

「薬などの副作用を調べることとは別の事として考えるべきだ」

と、言う意見を述べられ、出来れば早く冬に家の中が寒いと言う事実に対応すべきと言った趣旨の
お話をされました。

高村 正彦
健康・省エネ住宅を推進する議連連盟 高村 正彦 会長

そして、今回は総理大臣の補佐官をされている衛藤晟一氏も挨拶にこられ、
今回の活動の意義について、お話をされていました。

衛藤 晟一
内閣総理大臣補佐官 衛藤 晟一氏

更に、もう一人の総理大臣補佐官である和泉洋人氏も挨拶に上がられ、
「先の2名がこれだけ長くお話をされたと言う事は、この内容が如何に重要なことなのかを分かって貰えたと思います。」
と、お話されていました。

つまり、冬場に寒いという事実が、如何に改善すべきことで、
それを実現する何らかの手段が必要なのではないかと言う事です。

和泉 洋人
内閣総理大臣補佐官 和泉 洋人氏

もちろん、その具体的な手法についてはこれからどんどん議論が進んでいくものと思われますが、
毎年行われている恒例のシンポジウムとは言え、一歩一歩確実に、良い方向に向かって進んでいるのではないかと
感じるシンポジウムとなりました!

 
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