先日、四條畷市の田原台と言う場所においてシンポジウムが開催されました。
これは、昨年に引き続き行われたシンポジウムで、私も断熱リフォームの実例紹介と言うことで、登壇させて頂きました。
今回は、近畿大学建築学部長である岩前教授のご講演もあり、ご参加頂いた方には非常に面白くてためになるシンポジウムだったのではないでしょうか。
岩前先生による快適性と健康との明確な違いのお話
岩前先生のお話は、いつもためになるだけでなく、必ず聴衆者を惹き込むような面白い笑いのあるお話があります。
本日も、岩前先生の岩前節が炸裂して、会場内は暖かな雰囲気に包まれていました^^)
今回のお話では、「快適」と言う感覚がどうも「健康」と直結していると勘違いされている方が多く、実際にはこの両者は全然違うと言うお話がありました。
「例えば、タバコなどはその例で体は快適に感じるのですが、実際には体に良くない。
これが家の快適性にも当てはまり、実際に快適に感じても健康とはかけ離れていると言うことがあり、それが家の寒さなのだ。」
と言うお話でした。
更に近年では、これらの事が公に認められつつあり、本年の4月には学校法が改定され、それまで学校では『10℃~30℃』までであれば、良しとされていた基準が、『17℃~28℃』にしなければいけないと言うことになりました。しかも、これは「子どもたちの健康と快適」を維持する目的とされています。
参考)「学校環境衛生基準の一部改正について(通知)平成30年4月2日 文部科学省」
このことについて如何に画期的なことなのか岩前先生よりお話があり、会場にいらっしゃった方々もとても興味深く聞いていらっしゃいました。
この後、私の方からも同じ田原台において断熱リフォームをされた事例を発表させて頂きました。
結果としてお話したことは、
・それまでリビングでは20度を下回ることが多かったのですが、リフォーム後は20℃を下回ることが殆ど無くなったと言う事実。
・暖かくなるとその方は、血圧が明らかに下がったという事実。
を、お話させて頂きました。
四條畷市長も登壇されたパネルディスカッション
そして最後には、四條畷市長の東市長(日本で一番お若い市長ですが、とてもしっかりされている方です。)と田原台を代表するメンバーの方々を交えてのパネルディスカッションが行われました。
このパネルティスカッションにおいて、非常に重要だったお話は
「昨年のこのシンポジウムの話を聞いて、実際に寒い時期の部屋を暖かくしてみました」
と、言うお話だったのではないかと思います。
小学校のPTA会長を務められていらっしゃるのですが、今回はその立場と言うよりかは一人の母親としてやってみたことをお話されていたと思います。
聞くところによると、
「昨年は忙しくて、インフルエンザの予防注射に行けなかった。」
そうです。そんな折思い出されたのは、昨年のシンポジウムでお話した、
『家を暖かく過ごすように心がければインフルエンザの予防になる』
と言うお話でした。
「実際に心がけて家の中を暖かくするようにしてみました。その結果、家族の誰も風邪をひくこともなく冬を越すことが出来ました!」
と、言う非常に貴重なお話をして頂きました^^)
このように、実際に実践されて初めて"実感すること"これが、一番重要に思います。
我々も色々な場所で、啓発活動としてお話をさせて頂きますが、どれだけ説得したとしても習慣はそうそう変わるものではないと思います。
ですので、"実際にやってみて感じて頂く"これ以上に効果のあることは無いと思います!
これを読んで頂いている皆様も、是非試してみて頂けたらと思います。
追伸)
シンポジウムの後に、パネルティスカッション登壇者の方々と懇親会が行われました。
東市長にもご参加頂いたのですが、非常に気遣いが卓越された方で、博学でもありました。
私が東市長と同い年だったころは、こんなに周りに気を配ることは出来ていなかったなと。
(まぁ、今もですが・・・)
素晴らしい方でした^^)
沖縄は暑いイメージがありますが、実は夏場でも気温が30℃を超えることは殆ど無いそうです。
これは沖縄が島で、常に海からの風が吹いているためにそれほど地表面の温度が上がらないからのようです。
沖縄本島から300kmほど南に離れた宮古島においても同様のことが言えるようで、沖縄に生活する人は窓を開けて通風で暮らすと言う習慣が昔からあるようです。
宮古島市では、市が運営する宿泊施設として宮古島市エコハウスと言う施設を運営しています。
エアコンを使用せずに自然なエネルギーである通風を活かして生活することで『省エネで環境への負担が少なく、かつ快適な暮らしができる』と言うことをコンセプトとしています。
(ですので施設の中にはエアコンが設置されていませんでした。)
宮古島市が運営するエコハウスには2種類のエコハウスがあり、市街地型と郊外地型があります。
今回、我々はそのうちの市街地型エコハウスに宿泊させて頂きました。
(宿泊費にはビックリしました・・・)
風を通すための花ブロックが使用されていた
宮古島市が運営するエコハウスは、どちらも伊志嶺敏子さんと言う沖縄を代表する建築家さんが設計されていらっしゃいます。宿泊の晩、我々は設計者である伊志嶺敏子さんともお会いし、いろいろなお話を聞かせて頂きました。
(とてもお若い、非常に情熱あふれる方で、とても有意義な時間を過ごさせて頂きました!)
伊志嶺さんは普段から「誰でも作れるディテール」「使えるものは使う」と言うコンセプトをお持ちで、今回の建物も、それらを意識して設計されたそうです。
例えば、外装に使用している「花ブロック」などはその典型と言えるかもしれません。
この花ブロックは、沖縄では昔から利用されているブロックで一般的には透かしブロックと言われるものです。ブロックでありながら通風することが可能やように、穴が空いています。様々な種類の花ブロックがあり、積み上げるととても綺麗な模様のように見えます。
この花ブロックを利用して、外部との境界を作りながらも通風を可能とし、更に花ブロックの屋内側にもう一重の開閉可能な窓を有した外壁を設置することで、夜でも防犯上問題なく、必要に応じて通風が出来るように設計されていました。
あらゆる方向から風を通すことが出来るようになっています
屋内側は、どちらの方向からでも通風させることが可能なように、沢山の開口が設けられていました。
ちょうど、上の写真の左奥に花ブロックが見えますが、花ブロックが外部との仕切りとなり、その内側にさらに開け締めが可能な開口が設けられていました。こうすることで夜間に窓を開けておいても防犯上も安心して就寝することが出来るようです。
実際に訪れて試してみて分かったことは、最初に四方の窓を全て開けれるだけ開けてみたのですが、意外とそれではあまり風が入ってきませんでした。ですので、今度は風道を考えて、風が吹いてくる方角の窓を開けるのと同時に、風が出ていくと想定される窓を開けて、他の窓は閉じてみる。と、いうことをやってみると、今度はとても良く風が入ってきます。
つまり、風をより良く通そうと思ったら、「風が出ていく側の窓」がどこなのかをしっかりと想定して開けることが重要なことに気が付きました。冷静に考えると、当たり前なのですが、実際に体感してみるとそのことがとても良く分かります。
この経験は、私がパッシブ設計を行う上でとても貴重な経験で、風道を考えることの重要性を示唆していると感じました!
翌朝、伊志嶺さんはわざわざご自宅の庭で生っているシークワーサーを我々のために持ってきてくださいました!これは前夜に、庭にシークワーサーが生っているという話になり、シークワーサーが入ると、濃いはずの泡盛がジュースのようになると言った話から、ご親切にも持ってきて頂けると言う酔の席でのお話を覚えていて下さったからでした!!
とても貴重な体験をさせて頂いた上に、色々お世話になり、感謝感謝です^^)