アメリカの技術者であり、サイエンスライターのRamez Naamさんが提唱し、Googleなどもこの思想を取り入れているそうなのですが、太陽光発電で発電できる電気の価格はある法則に従って安くなっていくそうです。
今回は、この考え方についてご紹介致します。
太陽光発電の採用を迷っている方は是非ともご参考にして下さい。
ムーアの法則というものをご存知でしょうか?
ムーアの法則とはアメリカのインテルと言う、「インテル入ってる?」と言うCMでお馴染み(古い?)のパソコンのプロセッサを作る会社の創業者である、ゴードン・ムーアさんが1965年に論文を発表して有名になった法則です。
集積回路上のトランジスタの数は、「18ヶ月(1年半)毎に2倍になる」
というもので、事実これはその通りに発展しパソコンの能力は目覚ましく向上しました。
(近年ではその伸びも鈍化しつつありますが、GPUへの移行で維持されるとも言われています。)
ムーアの法則の面白いところは、性能の向上と言う視点だけでなく、裏を返せばそれだけ性能の良いものが安く手に入るようになる。つまり、コストも同じような法則で安くなる。
と、言うことも言えるところです。
この考え方を太陽光発電の値段に適用してみたRamez Naamさんは、2010年に2009年までの実際のデータを使って、以下のようなグラフを作成しました。
太陽光発電のおけるムーアの法則
このグラフは、2009年までのデータが実際のアメリカでの市場のデータです。
そして、それ以降が予想の値となっています。値段は太陽光発電の1W当たりの値段をドルであらわしています。
ちょっと、日本人の感覚では分かりづらいので、1ドル=110円として、1kw当たりの値段にて換算してみます。
すると、次のようなグラフが出来上がります。
太陽光発電のおけるムーアの法則(日本円に換算)
このように換算してみると、2000年頃に1Kw50万円、2015年には1kw19万円と言う数字が読み取れます。(対数グラフと言う表示になっているので、分かりづらいかもしれませんが。)
実際に、日本において2000年頃の太陽光の値段は58万円程度であり、2015年頃には商業用では約28万円(住宅用で約)44万円でした。
こうしてみると、少し差はありますが概ね法則に従っているようにも見えます。
実際に、Ramez Naamさんがこの内容を発表した際に様々な議論が巻き起こったようです。
ただ、厳密にムーアの法則に当てはまるかと言うとそうではありません。
ただ、氏が言いたかったのは、それだけ指数関数的に安くなっていくことは間違いなく、結果的には石炭を使って発電するよりも安くなるはずだ。と、言うことを言いたかったようです。
原文:「Smaller, cheaper, faster: Does Moore's law apply to solar cells?」
これによると、太陽光発電にかかるコストは2020年には石炭を利用した火力発電より下回るはずだと彼は述べています。
そして、そのことが二酸化炭素排出を防ぐことが出来るクリーンな社会を生み出すとしています。
日本の場合、この発想をそのまま適用できるかと言うとそれは出来ません。
アメリカは古くから電気の料金を市場が決めてきた背景があり、日本ではそれを長らく政府が決めてきました。
ここ最近、電力の自由化によって比較的電気料金にも幅が出てきましたが、まだ自由競争ということろまでいっている訳ではありません。
そんな背景の違いがあるので、実際にこの言葉を鵜呑みにするわけにはいきませんが、大切なことは
「導入価格が指数的に減少している」
と、言うことで
【いつかは太陽光発電を導入することが当たり前の世界がくるかもしれない。】
と、言うことで、それが
【それほど遠くない未来にやってきそう】
だと言うことです。
事実、買い取り価格(本日、太陽光の買い取りをやめるかもしれないと言う案が出たと言うニュースが出ていました。2020年だそうです。)を前提として、ゼロエネルギー住宅にすると太陽光発電を設置した方が、かなりお得だと言う試算も可能となっています。
これから太陽光発電を導入しようと考えている方は、2020年近辺においてコスト的には一方的に得とは言い切れないが、殆どの場合得する。と、言っても過言ではない時期なのだと言うことを知っておくと良いでしょう。
私が近畿大学建築学部にて講義をしている、環境演習という授業の一環で、世界的に有名な設備や構造の設計会社である、Arup.Japanの設備部門の部長さんにお越し頂き、講演をして頂きました!
Arpuさんは、世界40カ国に法人を持ち、意匠(デザイン)設計以外の設計をやられている会社です。
ですので、有名な建築家とのコラボレーションも多数あります。
Arupさんが有名になったのは、誰もが不可能と思っていたシドニーのオペラハウスの設計を見事にやり遂げ、それを実現したところからだそうです。
設計者が手書きの図面を作成した段階では、その複雑さから建築は不可能と言われていました。
誰もがその実現を悲観していたそうですが、Arupさんが画期的な手法を考案し、建築の実現にこぎつけたそうです。
今では世界で一番新しい世界遺産だそうです。
世界中で手がけている建築の数々について、ご紹介頂いた中から特にこれから住宅を建てる人にも知っておいて貰えたらなと思った内容をご紹介します。
Arupさんによる講演の様子
大きな建築物を設計する場合、設計には主に3つの種類が存在します。
それが、
・意匠(デザイン)設計
・構造設計
・設備設計
最初の2つはイメージがつきやすいと思いますが、設備設計とはあんまりピンとこないかもしれません。
しかし、この設備設計はとても奥が深く周りの環境を考慮した上で、屋内の環境を良くするために空調や換気の計画をすると言ったことが主な設計内容となります。
日本では関西空港における換気扇の設計を手がけたがのが最初の設計だったそうです。
関西空港にいくと、大きなドーム状の屋根があると思います。
あのドーム状の屋根には一切の空調設備が見えません。
それもそのはず、屋根の一番端に取り付いている、特殊な換気扇によって一気に空気の搬送が行われているのだそうです。
このように、設計する設備をどのように美しく見せるかというのも、設計の腕の見せ所なのです。
この内容については、後日改めてご紹介するとして、Rames Naamさんと言うアメリカの技術者の人の話を紹介されていました。
氏によると、太陽光発電の進化もムーアの法則と同じで、指数対数的に性能が良くなり、値段が安くなっていくと2011年頃に予想していて、
現実にその通りになってきているそうです。
ですので、「世界中の電力はPVで賄えるようになるはずだ」と言う予言がなされているそうです。
まだ太陽光発電を設置していない世帯は、この発言を参考に設置を検討しても良さそうですね!
講演の中で最も印象的だったのは、どんな空間が快適なのだろうと言うお話でした。
人が快適に思う空間は、オフィスの中にあるのか?それとも常夏の屋外のプールサイドにあるのか?
両者は環境因子を考えた時、ぜんぜん違うのですがそれをあえて屋内で用いる快適指標に当てはめると、どちらも同じような快適な数字になるとする。
しかし、実際に人間がどちらを選ぶのかと言うと、個人差はあるとしても、大半はプールサイドを選ぶのではないか。
そう考えた時に、何故屋外空間の方が良いと感じるのだろうか?
そういう考えさせられる内容でした。
そして、講演者の菅さんの考えでは
・快適さは環境の変化がなければ感じられない
・快適さは身体的と心理的、両方の感度の組み合わせ
だと、言う考えを述べられていました。
環境の変化が必要と言うのは、例えば「暑い」から「涼しい」に変化したときの感情などを指しているようなのですが、常に主体的に快適さを感じている必要があるのかどうかは私自身は多少違和感を感じましたが、心理的に良いと感じる快適さは必ずあるだろうなと思いました。
このことを、その場所に対する「期待値」と表現されていましたが、確かに常夏の屋外のプールサイドに期待するのは、屋内で過ごす場合よりも「暑さ」は多少寛容適で、風の強さに対しても屋内に比べるとはるかに寛容的になるのは間違い無いでしょう。
そのように考えた時、「色々な期待ができる場所を作る」と言うのはとても大切なことだと言う風に私自身は解釈しました!
その後の懇親会でも、色々お話をさせて頂き、とてもためになりました。
ありがとうございます!