私が近畿大学建築学部にて講義をしている、環境演習という授業の一環で、世界的に有名な設備や構造の設計会社である、Arup.Japanの設備部門の部長さんにお越し頂き、講演をして頂きました!
Arpuさんは、世界40カ国に法人を持ち、意匠(デザイン)設計以外の設計をやられている会社です。
ですので、有名な建築家とのコラボレーションも多数あります。
Arupさんが有名になったのは、誰もが不可能と思っていたシドニーのオペラハウスの設計を見事にやり遂げ、それを実現したところからだそうです。
設計者が手書きの図面を作成した段階では、その複雑さから建築は不可能と言われていました。
誰もがその実現を悲観していたそうですが、Arupさんが画期的な手法を考案し、建築の実現にこぎつけたそうです。
今では世界で一番新しい世界遺産だそうです。
世界中で手がけている建築の数々について、ご紹介頂いた中から特にこれから住宅を建てる人にも知っておいて貰えたらなと思った内容をご紹介します。
Arupさんによる講演の様子
大きな建築物を設計する場合、設計には主に3つの種類が存在します。
それが、
・意匠(デザイン)設計
・構造設計
・設備設計
最初の2つはイメージがつきやすいと思いますが、設備設計とはあんまりピンとこないかもしれません。
しかし、この設備設計はとても奥が深く周りの環境を考慮した上で、屋内の環境を良くするために空調や換気の計画をすると言ったことが主な設計内容となります。
日本では関西空港における換気扇の設計を手がけたがのが最初の設計だったそうです。
関西空港にいくと、大きなドーム状の屋根があると思います。
あのドーム状の屋根には一切の空調設備が見えません。
それもそのはず、屋根の一番端に取り付いている、特殊な換気扇によって一気に空気の搬送が行われているのだそうです。
このように、設計する設備をどのように美しく見せるかというのも、設計の腕の見せ所なのです。
この内容については、後日改めてご紹介するとして、Rames Naamさんと言うアメリカの技術者の人の話を紹介されていました。
氏によると、太陽光発電の進化もムーアの法則と同じで、指数対数的に性能が良くなり、値段が安くなっていくと2011年頃に予想していて、
現実にその通りになってきているそうです。
ですので、「世界中の電力はPVで賄えるようになるはずだ」と言う予言がなされているそうです。
まだ太陽光発電を設置していない世帯は、この発言を参考に設置を検討しても良さそうですね!
講演の中で最も印象的だったのは、どんな空間が快適なのだろうと言うお話でした。
人が快適に思う空間は、オフィスの中にあるのか?それとも常夏の屋外のプールサイドにあるのか?
両者は環境因子を考えた時、ぜんぜん違うのですがそれをあえて屋内で用いる快適指標に当てはめると、どちらも同じような快適な数字になるとする。
しかし、実際に人間がどちらを選ぶのかと言うと、個人差はあるとしても、大半はプールサイドを選ぶのではないか。
そう考えた時に、何故屋外空間の方が良いと感じるのだろうか?
そういう考えさせられる内容でした。
そして、講演者の菅さんの考えでは
・快適さは環境の変化がなければ感じられない
・快適さは身体的と心理的、両方の感度の組み合わせ
だと、言う考えを述べられていました。
環境の変化が必要と言うのは、例えば「暑い」から「涼しい」に変化したときの感情などを指しているようなのですが、常に主体的に快適さを感じている必要があるのかどうかは私自身は多少違和感を感じましたが、心理的に良いと感じる快適さは必ずあるだろうなと思いました。
このことを、その場所に対する「期待値」と表現されていましたが、確かに常夏の屋外のプールサイドに期待するのは、屋内で過ごす場合よりも「暑さ」は多少寛容適で、風の強さに対しても屋内に比べるとはるかに寛容的になるのは間違い無いでしょう。
そのように考えた時、「色々な期待ができる場所を作る」と言うのはとても大切なことだと言う風に私自身は解釈しました!
その後の懇親会でも、色々お話をさせて頂き、とてもためになりました。
ありがとうございます!