6月に大阪府では自粛要請が解かれ、緊急事態宣言も解除されました。
今後、我々は新型コロナウィルスとの共存を余儀なくされることになったと言えるでしょう。
そこで、我々は新型コロナウィルスを人に感染させないための防護策を知っておく必要があると思います。
建築物の屋内環境の専門家である私にとっても、まだ未体験のことが多いですが、信用度の高い情報についてここで共有しておきます。
以下の動画は、「一般社団法人 建築環境設計支援協会」がオンライン講座として掲載している動画の埋め込みです。
新型コロナウィルスの感染について非常に分かりやすく纏めてありますので、是非御覧ください。
新型コロナウィルスの感染については、「飛沫感染」というものがメインとされ「空気感染」は殆ど生じないとされています。
しかし飛沫にしても、空気にしても通常我々人間にとっては、目に見えるものでは無いのでその差を認識することは殆ど出来ません。
「空気感染しないのだから、換気扇によって空気を入れ替えることは関係ないのではないか?」
と、言う意見もあるようですがこの動画では、どのような状況であれば感染が起こりうるのかが分かりやすく説明されています。
その中でも、補足があるとより良いと思われる部分について、補足させて頂きます。
出典:「一般社団法人 建築環境設計支援協会」
こちらは、上記の動画の約3分頃に出てくる内容です。
円卓のテーブルAに座っている、黄色のA1さんが無症状感染者だったそうです。
その後、調べたところ同じテーブルのA2~A5さん、テーブルBの3名、テーブルCの2名に感染が確認されたそうです。
中国での換気扇・エアコンの影響による感染例
この画像を見て、「あれっ?」と思われた方は感の良い方です。
まず一つ、大きな点はテーブルBで座っている人に感染っている点です。
飛沫感染がメインで、空気感染の可能性が低いとは言え、A1さんの口から出た飛沫が直接届くテーブルAの人たちだけでなく、テーブルBにまで届いている。
どうやら飛沫がエアコンや換気の空気の流れに載って、テーブルBまで届いていた可能性があるのです。
さらによく見てみると、この画像のエアコンや換気扇による空気の流れからでは、テーブルCの人たちには感染しなさそうではないですか?
A1さんがかなり大声で喋っていたからでしょうか?
その可能性が無いわけではありませんが、それにしてもC2さんはかなり遠いようにも思います。
なぜ、C2さんにも感染ったのでしょうか?
実はここが恐らくもっとも知られていない点だと思われます。
一般の多くの人が誤解しがちなこととして、『エアコンの空気は外から直接取り入れた空気を冷やしている』というものです。
実はこれ、エアコンの場合はあまり一般的ではありません(一部、外から取り入れるものもあります)。
通常は、部屋の中の空気を循環させて、それを吐き出しているのです。
ですので、空気の流れは実際には下の図ようになっているはずなのです。
中国での換気扇・エアコンの影響による感染例
こうやって見てみると、テーブルCに座っていた人が感染した理由もなんとなく分かってきそうです。
つまり、エアコンは屋内の空気を一旦吸って、それを冷やして吐いているのだから、吸う側(この場合、青色の矢印)の空気にも飛沫が混じっている可能性があるのです。
更に、邪推すると青色の矢印がエアコンの中を通り、飛沫が混じったまま水色の矢印になって出ていく可能性もゼロでは無いかもしれません。
しかし、その点に関してはこれだけでは何とも言えません。もしかしたら飛沫はエアコンの機器内で取り除かれ、それ以上は影響しないかもしれませんし、影響があるかもしません。
ただ注意しないといけないのは、エアコンの場合、明らかに分かりやすい風下だけが飛沫感染の恐れがあるわけでは無さそうと言うことです。
結局、我々が注意できることとして以下が挙げられます。
・エアコンの風下や換気扇の排気経路では、飛沫を含んだ空気の移動の可能性があるので可能であればそこに座席を配置することは避ける
・エアコンは室内機に戻る空気も存在するので、機器本体周辺も避けたほうが無難
以上が言えると思います。
ご参考にして貰えたらと思います。
5年の歳月を費やし、全国で調査が行われてきたスマートウェルネス住宅等推進調査事業。
その成果が国際的に認められる形となり、正式に厚生労働省のお墨付きがつくようになりました!
スマオートウェルネス住宅等推進調査事業では、断熱リフォームの前後でどれだけ健康に影響があるのかの調査が行われてきました。
その概要は、国土交通省を通して毎年少しづつ発表されています。
~断熱改修等による居住者の健康への影響調査 中間報告(第3回)~
そして、これらの成果をまとめた論文が、国際的な医学の血圧に関する研究者で成り立つ雑誌に昨年8月に掲載されました。
Cross-Sectional Analysis of the Relationship Between Home Blood Pressure and Indoor Temperature in Winter
A Nationwide Smart Wellness Housing Survey in Japan
「冬の家庭血圧と室内温度の関係の横断調査 日本における全国スマートウェルネス住宅調査」
これはつまり、この5年間で分かってきた冬場の住宅内の室温が血圧に関連すると言うことが正式に国際的に認められたことを意味します。
これをもって、日本サスティナブル建築協会が下のようなチラシを作成しました。
このチラシは、今までの5年間の成果が簡単に表現されているのですが、今までと何が違うかと言うと、国交省のロゴが入っているだけでなく、「厚生労働省」のロゴも入っている点です。
医学の世界では、何かが新たに認められるにはかなり時間をかけ、慎重に慎重を期した議論がなされます。
ですので、厚生労働省のロゴが入ることはそうそう容易いことではないのです。
その中で特に大切なことは、部屋の温度を暖かくすると血圧が低下し、安定することです。
このチラシの裏面では、以下のように表現されています。
「リフォームで断熱性を改善、最高血圧が平均3.5mmHG低下!」
これは、特にご高齢の方の方が効果がてきめんです。
3.5mmHgと言う数字はかなり効果が高いということになり、健康への影響度も高いことになります。
更にこのチラシでは、18℃前後の違いにも言及しています。18℃以上の室温で暮らしている人と、18℃未満の室温で暮らしている人を比べると、健康診断結果にかなりの差があります。
・心電図の異常所見がある人が約1.9倍
・総コレステロール値が基準範囲を超える人が約2.6倍
寒い状況で暮らしていることによって、体に負担を与えているということになります。
足元は15℃以上であることによって、高血圧や糖尿病予防にも繋がります。
リビングだけ温かくして暮らしている人に比べると、リビングと脱衣室両方とも温かくしている人の方が、より熱いお湯で入浴しています。より熱いお湯に入ると言うことは、ヒートショックになりやすい状況ということにも繋がります。
温かい家に住んでいる人の方が、家の中で動き回る時間がなんと30分近くも多いのです。健康的に過ごすために、1日1時間歩きましょうなどと言うことが言われますが、家の中での過ごし方が変われば、その目安も変わりそうですね。
以上のように一枚のチラシの中に様々な内容が描かれていますが、兎にも角にも、家の中を温かくすることによって、様々なメリットが得られることが分かりました。
これから、家の建て替えやリフォームをお考えの方は、是非とも参考にして頂けたらと思います。