既存不適格建築物

既存不適格建築物とは、建築した時には法律を満たしていたが、その後に法律が変わることによってその法律を満たせなくなった建物のことをいいます。

これとよく間違われるのが、違法建築物です。
違法建築物の場合、同じように建築当初は法律を満たしていたとしても法律変更の有無に関係なく、意図的に法律に違反するように建物を工事することを指します。例えば、面積オーバーと分かっていて増築したケース等です。

既存不適格建築物の例

既存不適格建築物となっているケースが多いのは、

  • 『4m以上の幅員のある道路に2m以上接していない』:昔の法律ではこのような法律が無く、4mの道に接していることやその接している長さが2mであることは不要でしたが、現在では必ず必要となる
  • 『建ぺい率や容積率が超えている』:建ぺい率や容積率は昔と比べて厳しくなっている場合が殆どです。昔はめいっぱい土地に建物が建てられた場所でも今ではその6割程度しか建てられないと言ったことが現実としてあります。
  • 『耐震性能が不足している』:2000年以降に大きく法律が変わり、これ以前の建物は殆ど既存不適格建築物となります。

などです。

現行の法律を満たすように改修しなければいけないといった法律がある訳ではないですので、そのまま住み続けることや売買することも可能です。

ただし、この既存不適格の住宅を購入する時には、注意が必要です。

既存不適格の物件は比較的安く売り出されている場合もありますが、それにはちゃんと理由があります。

たとえば、その土地と建物を購入して将来建て替えを計画している場合、前面道路の条件によっては、建て替え出来ない、現存する家よりも極端に小さい家しか建てれない、増築が不可能といったこともあり得ます。

また、耐震性能が劣る場合ですと、大きな地震がきたら倒壊する危険があります。

こういった既存不適格建築物を購入するにはリスクがありますが、安く手に入れることができることも確かです。

既存不適格建築物かどうかを調査する方法

インスペクション

リスクが十分に分かった上で購入する場合はそれほど問題ないと思いますが、問題点は一般の人がこれを把握することは困難だということです。

そこで、現在ではインスペクション(中古住宅の既存不適格建築物かどうか等の調査)をした建物かどうかを建物を売る側または、仲介する側が説明する義務があります。(契約後にインスペクションをするかどうかも説明義務の範囲です。)

これを知らずに購入する方も多いので、購入する際には、インスペクションが行われるのか?または行われたことがあったのか?を確認することが重要です。

インスペクションは国が認定する、既存住宅状況調査技術者が行います。調査が行われた建物は、売買の際に重要事項説明書で状況が説明されることとなっています。インスペクションによって既存不適格建築物であった場合は、それを是正するためのリスクや費用について、追加で確認すると良いでしょう。重要事項説明書はあくまで現状を説明するためだけの仕組みですので、ですので以下のような質問は自身で行う必要があります。

  • どのような是正が必要なのか?
  • 是正は不要なのか?
  • 建て替えの際のリスクは?
  • 耐震は十分なのか?
  • 断熱は十分なのか?

参考にしてみて下さい。

もし、インスペクションがまだ行われていない物件の場合は、自分で追加費用を負担してインスペクションを受ける必要があります。

しかし、この場合結果的に買わないという事になればその費用は水の泡です。
インスペクションを依頼する前に、ある程度の確認は自分でする必要があります。

わかる範囲で自分で以下のような事項を調べてみましょう。

  • 敷地に関わる法律をチェック各市町村のホームページで確認可能です。 例)マップナビおおさか(大阪市の場合)
  • 既存の住宅の確認申請や完了検査済証が発行されているか:不動産屋に問い合わせてみて、不動産屋が未確認の場合は市町村か都道府県の役所内にある建築指導課で確認が可能です。

などを確認するなどすると良いです。
更に細かい確認を行いたい場合は、こちらのPDFを参考にしてみて下さい。

参考 中古住宅購入マニュアル(88ページ)住宅みちしるべ編