無垢材と集成材の価格や強度の違い

集成材

無垢材と集成材の違いは、簡単に言うと「自然素材」と「人工材」の違いです。

無垢材は、伐採してきた木材を柱や梁の形に削って整えるだけです。

これに対して、集成材は一度木材を小さな材料に切ってしまい、それから接着剤で接合して柱や梁に成型したものです。

人工材と言う所以は、自然のものに人間の手を加えたり、接着剤を使うところにあります。

見分け方は非常にシンプルで、繋ぎ合わせが見えているものが集成材です。

では、無垢材と集成材の特徴を見ていきましょう!

◆ 集成材の特徴

集成材
梁が集成材となっている

【集成材は寸法が安定しているため、テーブルや階段で利用される】

集成材で出来た階段

集成材の最大の特徴は寸法が安定している点です。
自然そのままである無垢材は、天然であるが故に冬になって乾燥すれば内部の水分が抜けて縮みますし、夏になって湿度が高くなると伸びます。

単に縮むだけであれば良いのですが、階段のような場所で縮んでしまえば、階段自体が曲がったり、割れたりすることが発生します。

このようなことが生じないために、階段やテーブルの板などでは集成材が良く利用されます。つまり、曲がったり割れたら困るものには集成材が良く利用されます

また、建物の柱や梁といった構造においても寸法が安定していることが主な理由として、近年ではよく利用されるようになりました。

無垢の木の場合は、縮みや伸びによって部屋の壁(主にクロス)に割れが発生したりするケースが新築当初の2年間程度はよく発生します。

これに比べて、集成材はそこまで伸び縮みがないため、無垢材に比べて割れの発生が少なくなります。

施工者側からすると、メンテナンスに割く費用が掛からなくなるため非常に寸法が安定していることがメリットとなります。

住まい手側にとっても、割れることによる無用な心配をすることが無くなる点はメリットとも言えますが、実際に構造上深刻なほどの割れが発生することはそれほど多くありません

【集成材で材料のコストダウンが可能!?価格は安い?】

集成材は、切ってきた木を余すことなく使用することが出来ます。

無垢材の場合ですと伐採した木一本当たりから取り出せる、柱や梁などの材料は数本しか出来ませんが、集成材の場合は切り方を工夫すれば、無垢材以上の柱や梁を製造することが可能です。

この意味でコストダウンが可能になる可能性があります。
(余談:集成材は主に切った木を接着する場合に機械を使いますので、この機械を何年か使って、元をとるまではあまり安くはなりません。。。)

時期によって木材の値段は大きく変わるので、単に集成材だから安い無垢材だから高いと言い切ることは出来ませんが、例えば板に利用される集成材であれば、世の中に出回っている集成材の板材の方が多く、無垢の板よりも安価である場合が殆どです。

構造用の柱や梁に利用する木材は、海外からの輸入材を利用するケースが多く、為替の値の動きによっても値段が変わるので、無垢材と比べてどちらが安いかは一概に言えません。その時期によって、どちらが安いかをたずねてみると良いでしょう。

【集成材の初期強度は、無垢材の1.4倍!しかし、シロアリに弱い!?】

また、小さく切った木材の特性を活かして組み合わせることで、非常に初期強度の強い集成材を作ることも可能です。

試験センターでの結果では、無垢材の約1.4倍の強度を出せると言われています。

ただ、一般的な住宅の場合で非常に強度の強い集成材が必要になることは、あまりありません。

広い空間をとりたい場合や、大きな開口(窓や出入り口)をとりたい場合などにこの集成材が使用されます。

また、全ての人工材料がそうであるように、集成材も人工材ですので作ったその瞬間から劣化が始まります。

主な原因は接着剤を使用しているためです。

集成材という材料が出来て間もない頃に使用していた接着剤は、劣化が早く接合された箇所がボロボロに剥がれてしまっていた現場も目にしたことがあります。

最近では、接着剤の研究が進み、極端な劣化はしないようになったのですが、やはり人工材である事に変わりはありませんので、どの程度長持ちするのかと保証をはっきりと確認しておく必要があります。

また、柱や梁に利用する集成材で最も重要なことは、樹種が何かです。
主に、ホワイトウッドやレッドウッド、杉やヒノキと言ったところが多いのです。この内、ヒノキは比較的シロアリ被害に遭いにくい木材です。これに比べて他の木はシロアリが好んで寄ってくる木となります。いずれにせよ、これらを利用する場合は、どのような防蟻処理をしているのかを確認する必要があるでしょう。

シロアリ
比較的シロアリが好み、蟻害に遭いやすいのが集成材
参考 シロアリの予防と対策家づくり応援サイト

◆ 無垢材の特徴

無垢の柱や梁で出来た建物

【コントロールが難しい無垢材】

無垢材の大きな特徴は、自然材料である事です。

自然材料の大きな特徴としては、人間が思うようにコントロール出来ないところにあります。

これは、全ての自然材料に当てはまります。

私たちが生きるために必要な「水」ですら、そのコントロールは難しく、私たちが知っているのは、ほんの一部の場合の挙動に対してだけでしかありません。
(注意:このほんの少しが多くの危険を取り除ける事もあります。)

無垢材は切った後でも水分を吸湿したり放湿したりする事で、木の中に含む水分が増えたり、減ったりします。このことで、木は伸びたり縮んだりを繰り返しますので、柱や梁が割れたりする事もよくあります

【無垢材の十分な乾燥が家の強度に影響!】

無垢は伸びたり縮んだりし易いので、無垢材を採用する場合は、この伸びたり縮んだりを極力抑えるために、木の中心部(表面ではない)の水分を乾燥させてやることが大切です。

木が含む水分の割合を含水率と呼びますが、これが10~13%程度で木が最も強くなると言われています。

木の中心部分までがこの状態になると、多少の雨が掛かったとしても、またしっかり乾燥させてやれば中心部分はほとんど含水率が変わらないとされています。

このように、木材の強度は、木材に含まれる水分の割合によって決まります。

【ヒノキは伐採後200年は強度が増す!?】

この他、無垢材は自然材としての木の特徴がそのまま活かされます。

木は伐採後100年~200年程度では強度がほとんど衰えないことが、木の経年変化の調査で明らかになっています

無垢材の経年変化
無垢の木の伐採後の強度変化

特にヒノキなどは伐採後200年の間は逆に強度が増していくなど、木が生きた素材であることを物語っています。寺社仏閣が数百年も建っている事実からも木材の耐久性の長さが伺えます。

450年前に建立された竹生島神社

無垢材は無理にコントロールしようとせず、その特徴を活かす方法を検討し取り入れる事が重要です。

【無垢材はなんといっても美しい!!】

無垢材の板を並べたフローリング

無垢材の最大の特徴は、やはり見た目の美しさや面白さにあります。
構造材の場合でも、無垢材の場合は壁の中に隠さずに表し(あらわし)といって、屋内に露出させるケースがあります。これも無垢材の美しさが故と言えるでしょう。

また、床に無垢材を利用する場合はその杢目が様々であり、見ていて楽しいもです。節が2つあって、顔のように見えたりした覚えがある方も多いのではないでしょうか?

床や化粧として利用する場合は様々な樹種を利用することも可能です。

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