瑕疵

瑕疵

瑕疵とは欠陥を意味する法律上の用語です。

住宅建築や不動産で瑕疵に該当するのは次の事柄です。

  • 建築基準法、消防法などに違反している場合の瑕疵(法的瑕疵)
  • 建物が設計と異なっている場合の瑕疵
  • 契約内容に違反している場合の瑕疵
  • 一般的な性能を欠いている場合の瑕疵
  • 自殺などによる事故物件であっとことが発覚した場合の心理的瑕疵

2020年4月に民法が改正され、瑕疵担保責任が契約不適合責任と改称され、買主に対する保護が手厚くなりました。

中古住宅の売買契約では契約時点では分からなかった瑕疵が後で発覚した場合、気が付いた時から1年以内であれば、売主や施工者への賠償請求契約解除、代金減額請求や追完請求(不具合の補修など)をすることができます。
ただし、契約書などに瑕疵担保責任の免事項などが含まれていた場合はこの限りではありません。しかし、この場合においても知りながらに告げなかった事実については、責任を免れることはできません。

また、新築住宅の請負契約(注文住宅の場合)や売買契約(建売住宅を買う場合)であれば、品確法により、主要構造部の瑕疵と雨漏りについて、10年間の瑕疵担保責任があります。

したがって、引き渡し後、10年間は、売主や施工者へ瑕疵の修繕や賠償請求ができます。
しかし、今までは売主や施工者が倒産してしまった場合、修繕や賠償を求める先がありませんでした。その反省を踏まえ、2009年10月1日に住宅瑕疵担保履行法が施行され、住宅の売主や施工者は保険加入が義務化されました。

中古住宅や建売住宅・マンションを購入する場合の瑕疵の確認

インスペクション

中古住宅や不動産を購入する場合、瑕疵かどうかの判断は「既存不適格建築物」であるかどうかが大きなポイントになります。

これを事前に知るためには、その建物がインスペクションを受けて正式に調査をされたかどうかで判断する必要があります。

中古住宅や建売住宅の場合、売買契約時に重要事項説明が行われます。この際にインスペクションを受けた建物かどうか、その結果、既存不適格建築物なのかどうなのか、どの箇所が不適格なのか。と言ったことが説明されます。

しかし、実際の契約時にこれらの説明を受けていたのでは既に遅い場合が殆どでしょう。

ですので、購入の検討を始めた初期の段階において、インスペクションは受けたのか?これから受ける予定はあるのか?を確認すると良いでしょう。

ただし、新築住宅である建売住宅やマンションの場合は、役所や代理となる確認申請機関、保険会社による第三者検査があるため、これをインスペクションに変えても良でしょう。

新築注文住宅の瑕疵の確認

新築注文住宅の場合は契約後に建物の工事が始まります。(これを請負契約と言う。)そして、新築の注文住宅の場合は瑕疵が発生しないように、建築工事を担当するものとは別の第三者による検査・確認が義務付けられています。

とは言え、義務付けられている範囲は建築基準法や消防法、都市計画法で定められた範囲での確認となっています。

この範囲外の設計図書との相違を第三者に確認したい場合は、専門の検査会社に依頼する必要が出てきます。

瑕疵を発見した場合は?

もし、瑕疵と思われる箇所を発見した場合、誰に相談するべきでしょう?
工事会社に相談してみて、会社が誠実に対処していると判断できた場合はそれで構わないでしょう。

しかし、工事会社の対応に不満があったり、信用できない部分がある場合は、第三者の専門家に相談すると良いでしょう。専門家と言っても色々あります。同じ建築士でも医者と同様、得意不得意分野が存在します。例えば、住宅のことには詳しいが、それ以外の建物には詳しくない建築士。建築の設備については詳しいが、住宅については全く知らない建築士など様々です。デザインのことしか分からない建築士もいるでしょう。ですので、専門家に相談する場合は、住宅の瑕疵について詳しい建築士や弁護士に相談することが一番です。役所の無料相談においても同様のことが言えます。

ここにおける相談で、瑕疵と思っていた部分が実は自分の勘違いであったり、工事会社の対応が真っ当であることが分かるケースもあります。

これに対して、「これは酷い」と言ったようなケースもあります。この場合はその後の対応をどうするかは専門家と相談しましょう。

まずは、専門家に相談していることを工事会社に打ち明け、その上で対応を協議します。それでも不誠実な対応を繰り返す用であれば、最悪、司法に委ねる必要もある場合があります。しかしこれは本当の最終手段とするべきでしょう。司法に委ねた場合は、恐らく当初思っている以上の時間と金銭的負担、精神的負担が大きくなります。

できるだけ、これ以前の段階で落としどころを見つけることをお勧めします。