上げ下げ窓

上げ下げ窓

上げ下げ窓とは、別名ギロチン窓と言われる、上下に上げたり、下げたりすることが可能な窓のことです。

上げ下げ窓の種類

上げ下げ窓にはいくつか種類があり、シングルハング、ダブルハング、スリット上げ下げ窓などがあります。

  • シングルハング窓(片上げ下げ窓):下側の1枚のみスライドさせることが可能です。上側は固定されたままとなり、動かすことは出来ません。しかし、ダブルハング窓で欠点だった、気密性能(窓自体にある隙間)を改善したものであり、特にこだわりが無ければこれを選んでおけば良いでしょう。
  • ダブルハング窓(両上げ下げ窓):上下2枚のスライド式の窓となっており、2枚共に上げた状態にしたり、2枚共に下げたりすることが可能です。どちらにあけても結局は同じ開口面積しかとれないため、気密性能を損なう事を思えば、お勧めとは言えません。
  • スリット上げ下げ窓(バランス上げ下げ窓):上下2枚の窓が同時に動くタイプです。丁度真ん中の位置で止めることが出来、空気の入れ替え量が物理上多くなります。しかし、窓単体での空気の入れ替え量はそれほど沢山確保できないため、窓を開けた換気を考えるのであれば、上下階や他の窓も合わせて考える事が良作です。こちらも気密性能が高いとは言えません。

上げ下げ窓のデザイン面での特徴

上げ下げ窓でデザインしたファサード
上げ下げ窓でデザインされたファサード

ヨーロッパでは古くから、上げ下げ窓のみを利用した建物があり、同様の建物が連続することで街並みの美しさを保っています。

上げ下げ窓の街並み
スウェーデンのストックホルム:上げ下げ窓で統一された美しい街並み

同様の形状の窓を連続させることによって、幾何学的な模様に模した街並みになるため非常に美しさを感じます。

日本においてもこの様式が取り入れられた建物もあり、日本人にも通じる美的な良さがあります。

しかし、外部の壁面積に対して窓の面積が非常に大きいため、冬は寒く夏は暑くなりやすいと言ったデメリットがあります。また、窓の枚数が増えれば増えるほど建築費は上がっていくので、このようなデザインで一般の住宅を仕上げることは珍しいことです。

上げ下げ窓
一般的な日本の住宅における上げ下げ窓

一般の住宅においてよく目にする窓はこのようにガラス面に十字の格子が入っていない場合が多いです。このような上げ下げ窓はワンポイントで使われることが多く、上げ下げ窓だけで外観を際立たせるのには向いていません。

上げ下げ窓をワンポイントに利用した例
上げ下げ窓をワンポイントに利用した例

こちらの住宅においては、ファサード(道路に面した外観のこと)に上げ下げ窓は2枚のみの利用となっています。しかし、均整がとれていて非常に美しい外観と言えます。

この様に家づくりに上げ下げ窓を取り入れるには、枚数を適度に制限しつつも、バランスの良い配置を心掛けることでその良さを引き出すことが可能となります。

上げ下げ窓のメリットやデメリット

上げ下げ窓のメリット

上記で見てきたように、ファサードにおいて縦長の窓の特徴を活かしたデザインがかのうです。

また、縦長の窓故に防犯面でも役立ちます。窓から侵入される場合、窓ガラス自体を割られて、そこから手を入れて窓の鍵を開けることで侵入されるケースと、窓のガラス自体を外されて侵入されるケースがあります。前者の場合、仮に鍵を開けられても外側から上げ下げを行う事が難しくなります。この点、かなり防犯上は有利となります。後者の場合は、ガラス自体が外されてしまうので上げ下げすることも比較的簡単になるのですが、それでも他の窓に比べて、開けることが困難であることは同様です。

上げ下げ窓のデメリット

上げ下げ窓のデメリットは、掃除がしずらいことです。特に外側のガラス面に手を回すことが難しいです。大きな引き違い窓(通常の横スライドの窓)であれば半身を出して拭くことも可能ですが、上げ下げ窓ではこれがなかなか難しくなります。

価格も同じ面積の窓であれば、他の種類の窓よりも若干高いことが殆どで枚数が多くなれば、家全体の価格にも影響が出てきます。

上げ下げ窓に網戸は付けられる?

上げ下げ窓にも網戸を付けることは可能です。
内側にドア式に開くタイプや、横あるいは上部からロール状の網戸が出てくるタイプなどがあります。

ただし、網戸が固定式で開けられないタイプの網戸もありますので、どのタイプの網戸が採用できるのか、確認することも大切です。