上がり框

上がり框

上がり框とは、玄関の土間部分と1階床部分とを隔てる横木、あるいは化粧材のこと。通常は段差となっていて、玄関から砂ホコリなどが上がるのを防ぐ役割も担っている。

上がり框は、屋内に使用する床材の端のささくれを隠すために取り付けられる。

上がり框の段差はどれくらい?

玄関土間と1階床部分との段差は18cm以下であることが望ましいとされ、階段1段分(通常20cm程度)よりもやや低めとすることが多い。
2世帯住宅やマンションなどで、玄関が2階以上にある場合は、11cm以下の段差が望ましいとされている。

参考 バリアフリー性に関する基準フラット35HPより

マンションなどでは、上がり框部分に段差がない場合もあるが、これはどちらかと言うとコスト削減の意味が大きい。

上がり框での靴履き
上がり框で靴を履く場合は段差がある方が良い

上がり框部分の段差が小さいと靴を履く場合に苦労することが多いため、適度な段差がある方が使い勝手が良い。

便利な上がり框の幅は?

玄関は広い方が良いと言われるが、これは奥行きが広いことよりも寧ろ、横幅が広い方が使い勝手が良い。上がり框を出来るだけ長くする方が便利と言える。

上がり框が短い場合
上がり框が短いと、靴が渋滞する

上がり框が短いと、脱いだ靴を一列に揃えることが出来ずに、2列、3列と増やすことになる。この場合、靴を履こうとすれば他の靴を踏んづけることにもなり、使い勝手が悪くなる。

理想的な長い上がり框
理想的な長い上がり框

理想的には、横に長い上がり框とした玄関である。これであれば靴が渋滞することも少なくなり、履きやすくなる。

上がり框はどんな素材にすべきか?

上がり框には木材の他にもタイルや石などを利用することも可能であるが、一般的には床材に合わせることが多い。

大理石調の上がり框
大理石調に合わせた上がり框

このように床が大理石調となっていた場合、同じ大理石調の上がり框とすることで統一感を持たせることが出来る。

玄関は顔と言われるが、玄関を一つの空間と考えた場合、と統一感を持たせることが重要である。

統一感のある上がり框
弊社設計:統一感のある玄関

このように石目調の上がり框も床材と統一した空間の中であればその素材感が活きる。この統一感を無視して、玄関が街だけを派手にするのは空間デザインとしては失敗となる場合が多い。

様々な上がり框のデザイン

湾曲した上がり框
弊社設計:湾曲した上がり框

上がり框を湾曲させてデザインをすることも可能である。この場合、玄関ホールに湾曲した上がり框が空間に変化を与えている。

上がり框の下に空洞を作りそこを活かすこともアイデアの一つとなる。

浮いた上がり框
上がり框を浮かせた納まり

浮かせた上がり框の下に砂利を敷き、間接照明を仕込むことも一つのアイデアである。
また、砂利などを敷かずに框下に靴を入れられるようにすることも可能である。
ただし、この場合は段差が大きくなりがちなので、注意が必要である。

上がり框の段差を解消する方法

上がり框を低くしすぎるのは、玄関の砂ホコリが上がってくるため注意が必要である。しかし、高い段差は老後のために不安が残る。

このような場合は、式台を利用する方法がある。

玄関の式台
段差の解消に一役買う式台

上がり框の一段下に式台を設ける。このように一段増やすことで段差を半分程度に抑えることが可能となる。なお、式台にはある程度の奥行きが必要となる。30cm以上が望ましいとされていて、式台においての踏み外しなどを防ぐ目的がある。

式台は昔から日本において利用されていたため、和風住宅によく用いられる。
しかし、使う材料を統一させることで洋風住宅にも十分利用が可能となる。