【吹き抜けのあるダイニングやリビングの温度差と室温を測定しました!】

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高断熱住宅の室内の温度状況については、まだまだ知られていないことが沢山あります。
今回は、1階から3階までほぼ仕切りのない住宅での温度分布状況について、
如何に温度差を少なくすることが出来たかと言う例を紹介します。

 

---------------------- 目 次 -------------------------------------- ------------------------------------------------------------------------

 


 

 

H様邸の吹き抜けやリビングの状況

 

今回、温度測定をさせて頂いたH様の住宅は、Q値が1.89、C値0.78で、延べ床面積が約60坪。
吹き抜けを合わせると、65坪近い3階建ての住宅です。

吹き抜けは、ダイニング上部に5畳程度。但し、ダイニング上部の天井は勾配となっているため、
かなり天井が高くなります。リビングも、天井高さを3mとし、非常に大きな空間となります。
天井高3mのリビング
H様邸の詳細写真はコチラ

1階から3階まで、殆ど間仕切りがなく、階段も特に区切られていないので、
ほぼ、家中の全てが通通になっています。
通常、このような空間は温度環境がかなり不利になり、冬は寒くて仕方がない!!
と言ったような事も起こります。
しかし、今回のH様邸では高気密・高断熱な住宅に加えて、換気計画も住宅環境に
合わせて計画しています。
まずは、夏の温度状況について測定した結果です。一体どのような温度状況になっているのでしょうか?

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2012年夏の温度測定結果

 

温度の測定期間は、6月下旬から9月下旬まで、1階の和室、2階のリビング、3階の寝室と、
1つづつ、測定用の温度計を置いて、15分毎に温度と湿度を測定します。
冷房として使用したのは、3階で寝室ともう一つの部屋で6畳用のエアコン。
2階のリビングで15畳用のエアコン。これだけです。
温度の設定は常に28℃として貰い、基本的にはエアコンはつけっぱなしにして貰う。
(実際には、昼間や長期で留守にする場合、エアコンを切ることも多かったようです。)
H様に聞いた所、月々の電気代はせいぜい1万5千円程度だったとのことです。
この状況下での温度の測定結果は以下となります。

まず、注目すべき点は、この期間中の平均室温。
1階が約28℃、2階が約27.5℃、3階が29℃となっていて、
1階から3階までがほぼ、均質な室温になっています。
先にも書いたように、殆ど仕切りのないこの家で、上下に10m程の
高低差があるにも関わらず、この安定的な温度を維持できていると言う事に、
正直、私自身もビックリしました。
断熱性能の低い家では、たかだか天井高2m50cm程度の部屋でも、
上下で7℃以上の差が出来ることもよくあります。
そこから考えると、この数字が如何に凄いことかが分かると思います。

 

また、この期間中の室温のバラつきで見てみます。
プラス・マイナス1℃(つまり2℃)の範囲内にどれだけこの期間の室温が入っているかを
表現しています。

1階は殆どエアコンを使っていないにも関わらず、上の階からの冷気が降りてきて、
その影響により、温度が下がっているようです。

2階は,最も温度状況は安定しています。
夏の期間中は、この2階のエアコンはほぼつけっぱなしだったと言うことです。

3階は屋根に当たる太陽の熱のせいで、昼間に気温が上がりがちです。
しかし、3階に関しては不在の時はエアコンを消したりと言う事もしていたそうなので、
エアコンを付けていれば、もっと安定した温度になっていた事でしょう。

上を見る限り、温度差の範囲はかなり狭く、夏を通して室温はかなり安定していると言えそうです。
特に1階、2階の室温はかなり狭い範囲内で温度が安定している事がわかります。

 

今度は、休日の日に一日中家に居て、エアコンを付けっぱなしにしていた日の
データを見てみます。エアコンはあくまで、3階に6畳用2台、2階に15畳用1台のみです。

エアコンを付けっぱなしにすると、外気の温度に影響される事は殆ど無く、
常に室温は安定しています。全ての階が、1度の範囲内におさまり、
如何に快適な空間になるかを示しています。

また、この日の湿度の状況についても見てみます。
湿度は、通常低すぎるとウィルスが蔓延しやすく、
高すぎると、ダニやカビが繁殖しやすくなります。
ですから、快適な空間とは湿度50%に近い状態で実現出来る訳です。

ほぼ、50%近辺で推移しており、夏場でも湿度が高すぎると言う事がない事が分かります。
湿度においても、快適な空間と言うことが言えそうです。

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2012年末~13年初頭の冬の温度測定結果

 

現在測定中。結果が出次第、発表します!

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室温と温度差に注目!

 

夏場に限ってみると、断熱性能の高い住宅は換気計画の工夫などを行なうことで、
温度の上下差がかなり小さく出来ることが分かる。
従来、温度分布的にかなり不利になるとされてきた吹き抜けについても、
殆ど影響の無いくらいにまで温度差の解消に繋げることが可能と言うことが言えそう。
同時に、温度状況の改善だけでなく、湿度についても安定性が得られるので、
室内での快適性は抜群になると言っても過言では無い。

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