ところで、ホルムアルデヒドとは?

ホルムアルデヒドは、フェノール樹脂、尿素樹脂やパーティクルボード、繊維板、合板などを生産する際の接着剤の重要な原料として用いられる化学物質です。
それ以外でも、でんぷんのりなどの天然系接着剤の防腐剤や、身近なところでは、形状記憶シャツにも利用されています。
ホルムアルデヒドは、温度が高い程揮発しやすい性質をもっています。そのため、夏場の室内では、法律で定められる指針値を超える場合があります。
ここからは専門家向け
分子式 HCHO
無色の気体で、刺激臭をもつホルムアルデヒドは、一般的な住宅内の揮発性有機化合物の放散量が施工後、数週間から数ヶ月で当初の1~2割程度に減少するのに対し、放散量の減少のスピードが非常に遅いことがわかっている。
そのため、特にホルムアルデヒドに留意して建材の選定や施工を行う必要がある。
ホルムアルデヒドはなにから出る?
先に挙げたように、ホルムアルデヒドを含んでいる建材が主な発生源となっています。
また、たばこ煙や燃焼排気中にもホルムアルデヒドが含まれ、大気の中にも0.002ppm前後は存在しますが、シックハウス症候群の主な原因になるほど高濃度ではありません。
ホルムアルデヒドの体への影響は?
ホルムアルデヒド濃度との関係
100μg/m3(0.08ppm:23℃の時の換算値)
国が定める指針値
0.4ppm程度(法律で規制される濃度の5倍)
短時間であっても、目への刺激を感じるなどの人体影響が現れる
※個人差があります。
発がん性
ホルムアルデヒドに曝されるとがんの原因になる可能性があります。
鼻咽頭がんが指摘されているようです。
国際ガン研究機関(IARC)はホルムアルデヒドをグループ1に指定しています。
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ホルムアルデヒド規制までの歴史
住宅の気密化が進む
↓
シックハウス症候群を発症する人が増える
↓
・当時の厚生省(現厚生労働省)の住宅指針検討専門部会化学物質小委員会から
室内のホルムアルデヒド濃度指針値(0.1mg/m3=0.08ppm)が示される
・健康住宅研究会からホルムアルデヒドが優先取組物質に選定される
↓
・住宅メーカーや工務店などでもクロス用接着剤のノンホルムタイプへの変更
・F☆☆☆☆・ F☆☆☆といったホルムアルデヒドの放散が少ない建材の使用
ここからは、かなりマニアックな内容です。
特に、気になる方だけがお読みになることをお勧めします。
ホルムアルデヒドの仲間
ホルムアルデヒドの仲間には分子中に同じアルデヒド基を持つアセトアルデヒドや、炭素と酸素の二重結合を持つアセトンなどがあります。
これらをまとめてカルボニル化合物と呼びます。
アセトアルデヒド
平成14年に0.03ppmという指針値が設定されました。
近年、ホルムアルデヒドの室内濃度が減少傾向にあったのに対し、アセトアルデヒドの濃度は上昇傾向にあります。
アセトアルデヒドは天然成分として乾燥木材からも発生します。
アセトアルデヒドやアセトンは人体でも生成される化学物質で、有識者のあいだでもホルムアルデヒドほどの健康影響はないであろうといわれています。
空気中のホルムアルデヒドの測定の方法
ホルムアルデヒドを測定する方法はいくつかあります。
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検知管法
ガラス管の中にホルムアルデヒドと反応して着色する指示薬が入った検知管に一定の空気を通して、着色長からホルムアルデヒドの濃度を求める測定の方法
個人的見解だが、少し高めの濃度が示される場合が多い。
(高速液体)クロマトグラフ法
部屋の空気を捕集剤に吸着させ、その吸着された様々な有機化合物を細かく分離して、ホルムアルデヒドなどの化合物の量を調べる測定の方法
もっとも正確に測定する方法のひとつで、空気の補修方法の違いでアクティブ法とパッシブ法にわかれる。
アクティブ法
捕集剤の中に強制的に空気を通過させて試料を採取する測定の方法。
(新築の場合の詳しい測定の方法)
窓開け換気を行う(30分)
↓
窓を全て閉め、5時間以上放置
※換気回数が1時間に0.5回の場合
※換気計画の中に入っている空間は全て扉を開ける
※換気システムは運転
※出来る限り生活される状態を維持
※生活される方にとっては、家具等の搬入後が望ましい
↓
測定(30分:空気の流量の設定により異なる)
※午後2‐3時のもっとも1日で暖かくなる時間の測定が望ましい
※原則1箇所2回の測定
パッシブ法
捕集剤を測定したい箇所に吊るしておき、試料を採取する測定の方法
(新築の場合の詳しい測定方法)
窓開け換気を行う(30分)
↓
窓を全て閉め、5時間以上放置
※換気回数が1時間に0.5回の場合
※換気計画の中に入っている空間は全て扉を開ける
※換気システムは運転
※出来る限り生活される状態を維持
※生活される方にとっては、家具等の搬入後が望ましい
↓
測定(24時間:最低でも8時間)
※午後2‐3時のもっとも1日で暖かくなる時間をまたいだ測定が望ましい
捕集剤の種類
たくさんあるので、こちらのページでご確認下さい。
国土交通省のページ
http://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/torikumi/hinkaku/090401passivesampler.pdf
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吸光光度法
ホウ酸溶液の中に室内の空気を通しホルムアルデヒドを捕集する。
この補修した溶液に、数種の溶液を混合すると赤紫色に発色するため、550nm付近の波長で吸光度を測定する方法
信頼性の高いクロマトグラフ法によるホルムアルデヒドの測定費用は年々下がってきています。
そのため、検知管法との測定費用の差もそれほど大きくないため、せっかく測定するのであれば、クロマトグラフ法のアクティブ法やパッシブ法で測定を依頼することをお勧めします。
ホルムアルデヒドを含む室内の化学物質の測定を行う業者は右や下に出ていますので興味のある方は、ホルムアルデヒドの測定にかかる費用など確認してみてはいかがでしょうか?