築年数から考える新築よりも満足のいく中古(既存)住宅選び

家は人生で最も大きな出費を伴う物です。

住みたい街でできるだけ安くマイホームを手に入れたい。

でも新築住宅を買おうと思っても人気エリアではなかなか売りに出されていない。

あったとしてもとても高くて買えない。

でも中古住宅なら新築に比べて販売数も多くて価格も安いリフォームをすれば予算内で新築並みにきれいな物件を手に入れられる

そういう考えで、中古住宅(既存住宅)を選択肢に入れるのは当然です。

そこで築年数ごとの中古住宅(既存住宅)を比較しながら新築よりも満足のいく家選びをするために、築年数の違いと価値について知っておきましょう!

中古住宅の耐用年数について

そもそも中古住宅(既存住宅)はどれくらいの年数住み続けられるのでしょうか。

税法上の言葉で「法定耐用年数」というものがあります。

税法上の法定耐用年数によると木造は22年、鉄骨造は34年、鉄筋コンクリート造は47年となります。
※鉄筋コンクリート造の場合は、コンクリート自体の設計耐久年数(設計共用期間と言う)が、50年(標準)や100年(長期)であることが多いです。

参考 別表第一 機械及び装置以外の有形減価償却資産の耐用年数表減価償却資産の耐用年数等に関する省令

しかしこの法定耐用年数が過ぎたからと言って、この築年数までしか住めないというわけではないのです。

つまり

住宅に住み続けられる年数=法定耐用年数というわけではありません

これは税法上、新築から何年でその建物の資産価値が失われるか(資産価値がほぼゼロになる)を算出するもので、住宅ローンを組む際にも大きくかかわってきます。

あなたの周りでも木造一戸建てに22年を過ぎても住んでいらっしゃる方はいるのではないでしょうか?

ですからしっかりメンテナンスをしていればこの築年数をこえた中古住宅であっても充分住み続けられるということです。

築年数ごとの物件探し

実際に中古物件を探すにあたって、まず見るところといえば、築年数だと思います。

中古マンションと中古一戸建てでは大きくかわりますが築年数を重ねるごとに値段が下がることに変わりはありません。ただし人気エリアにおいては需要も高く市場にもなかなか出回らないので、中古であっても新築と価格がほぼ変わらないことがあります

まずは中古マンションの場合ですが、築1年目から価格の下落が始まり、平均すると一年で約3%ずつ低下していきます。

できるかぎり新築に近い中古物件が希望でしたら築浅と呼ばれる築5年程度の物件がよいと思います。

新築に比べると約12%程度安くなっています。(下グラフ参照)

中古住宅の価格推移
中古住宅の価格推移

ですが5年以内に家を売りに出す人が少ないせいなのかあまり流通量は多くありません。

そこで築6年~築10年の物件を見ると流通量は5年以内に比べて2倍近く増え、価格も新築に比べて20%以上安い物件も出てきます。

築11年以降の物件に目を向けると築20年程度までで急速な下落は止まりゆるやかとなります。価格は新築の約4割程度に下がるものもありほぼ底値といえます。購入後の資産価値低下を心配する方であれば築20年程度の物件がいいのではないでしょうか。

中古住宅(既存住宅)市場で流通量が多く契約件数が多いのもこの築6年~築20年の間です。

しかし築十年を過ぎたあたりから設備の劣化が目立ち始めます。特にお風呂や洗面台など水周りは約十年程度でリフォームする方が多いようです。そこで物件だけでなくリフォーム代も含めた予算計画は必須です。

次に一戸建てですがマンションよりも下落率はゆるやかで一定です。なぜなら土地の値段はほぼ変化しないからです。(*景気の変動によって大きな変動がある場合もあります)

一方で建物は1年で平均5%ずつ減っていき計算上では築20年で資産価値は0円となり土地の価格だけが残ります。ただしこれは法定耐用年数を考慮した不動産取引の慣習での話です。20年で人が住めなくなるということはないですよね。

これは、建物の構造がしっかりしており、前の住人がちゃんとメンテナンスしていれば築20年であっても利用価値のある建物が、ほぼ0円で手に入れることができるということです。 

つまり築20年の中古の戸建て住宅であれば、購入する際も売却する際もほぼ土地の値段で取引されるわけなので購入価格で考えた場合得するとも言えるでしょう。

ですがあまりに古い物件や構造に問題を抱えた物件の場合その修繕や耐震補強に多額の費用がかかり、建て替えした方が良い場合もあります。

また買う際に注意が必要な中古住宅としては、

  • 家が傾いているもの
  • 崖や擁壁があるもの
  • 違法建築であるもの

があげられます。これらは、場合によっては安全性の確保や住むための改修に大きな費用が掛かる可能性があります。

また、雨漏りやシロアリの被害はよく存在する問題であり中古物件を購入する際にはある程度覚悟しておく必要があります。これらは程度によって修復が可能です。

ただあまりにもひどいシロアリの被害は、地震で倒壊する危険があるので避けたほうがよいです。

(そのため中古住宅を売買するには、事前に建築士によるインスペクション(住宅調査)が義務づけられました。これにより大きな劣化などを事前に把握し安心して中古住宅(既存住宅)を購入できるようになりました。)

さらに知っておくべき重要な事は、

2000年(平成12年)に建築基準法の耐震基準が改正され、木造住宅の耐震性の向上に関する規定が強化されたことです。

2000年(平成12年)以降に着工された木造住宅であれば今とあまり遜色のない耐震性が見込まれます。

   

中古住宅をリフォームして住む

中古住宅をリフォームしてからお住まいを考えている方はおられるでしょう。

中古住宅のリフォームといっても

  1. 不動産会社はリフォーム前の中古住宅の仲介のみを行い、リフォームは購入者が自らリフォームを行うやり方
  2. 不動産会社が中古住宅を購入し、リフォームをしてから販売する方法

との二つがあります。

不動産会社の仲介で中古住宅が取引される場合

中古住宅を購入したとき、不動産会社には手数料として、

(物件価格×3%+6%)×消費税

を支払う必要があります。これは国土交通省の定める上限であり、これ以下での取引もあるようです。(上限を超える額は違法です)

購入後、建物に欠陥が見つかった場合、仲介の不動産会社は欠陥の責任を負いません。(悪質な場合は除く)

欠陥が見つかった場合の対処は、契約時に売主と買主の間で決めておきましょう。

参考 中古住宅や建売住宅・マンションを購入する場合の瑕疵の確認はじめて向け住宅用語集|図解つき

中古住宅購入後はリフォーム会社探しです。

  • リフォーム会社のホームページ
  • リフォーム会社探しの案内サイト
  • 新聞広告やチラシ
  • 地元の工務店やリフォーム店
  • 友人知人、近所や親戚などの口コミ
  • 住宅メーカーなどが主催する相談会
  • 仲介不動産会社の紹介

などがあります。

リフォーム会社を決める際は、その会社を信頼できるかどうかを判断基準にしましょう。
リフォーム会社は、建設会社とは違って営業のための免許が特段必要ありません。
このため、世の中には詐欺まがいのリフォーム会社が実在します。

値段が安いことも大事ですが、自分の希望内容と一致した提案をしてくれているか、アフターフォローや保証はしっかりしているかも重要なポイントです。

複数の会社の話を聞いて、あなたに最適な提案をしてくれる会社を選びましょう。

不動産会社が中古住宅を購入し、リフォームをしてから販売する方法

リフォーム済み物件は、リフォーム費用が中古住宅の代金に含まれた状態で販売されています。リフォームローンを使わず住宅ローンのみですので、資金計画が立てやすく購入しやすくなっています。

売る側にとってもリフォームすることで住宅の価値を高め、高く売却する事ができるのでお互いに好都合なのです。

参考程度に目安の金額として、リフォーム済み中古マンションの場合、都心では約3000万円程度、地方では1900万円程度で販売されているようです。

また不動産会社がリフォームして自社で販売している場合と、 リフォーム済み物件を、さらに違う不動産会社に販売委託されている場合の二つがあります。

ここで注意が必要なのはリフォーム前の状態を購入者が把握しづらいことです。

見えるところだけきれいにしてしまえば問題があってもわからなくなるからです。

リフォーム済み中古住宅は表面上は新築のようにきれいですが、どのようなリフォームが行われたのか確認すること、また建築士による住宅検査をしてもらうのもあとで後悔しない方法の一つです。建築士によるインスペクションが事前に行われたのかどうかは、販売する側が明示すべき事項となっていますので、必ず確認が可能です。

また中古住宅を手に入れる方法として仲介業者を介するのが一般的と思われますが、競売によって手に入れる方法もあります。元の住人が様々な理由で住宅に住めなくなり裁判所で入札によって手に入れる方法です。

不動産業者による仲介よりも安く手に入れられることで注目されていますが、事前に中を直接見ることはできません

また物件に何らかの問題があったり、前の居住者がすぐに立ち退いてくれない場合は、落札者自らが手続きをし解決しなけらばなりません。

中古住宅は不動産の価格だけでなくリフォーム代も含めしっかりとした見積もりをしなければなりません。あとで満足のできない住宅に我慢して住み続けることになる場合や、新築よりも多額の費用がかかることもあるかもしれませんので慎重な選択が必要となります。

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